緊急事態宣言発令後、銀座の夜も閑散としていた(時事通信フォト)
みゆうさんの友人のさやかさんは、最初は店がとりまとめるオンラインキャバクラでリモートキャバクラ嬢として仕事をしてみたものの、何か物足りなさを感じたのか、店を経由せずに個人でリモート接客をすることにした。ところが、オンラインとはいえ、キャバクラ店というフォーマットのおかげで成り立っていた部分もあった接客がうまくいかなくなった。それでも個人でとった客を満足させようと、オンラインでも店だったら絶対にやらないセクシーなサービスをするようになったのだ。それではキャバクラではなく、チャットレディではないかと彼女たち自身も自嘲をこめて、リモートキャバ嬢からチャットレディ嬢になったと言っている。
みゆうさんの他の同業知人も、仕事にあぶれ、オンラインキャバクラを始めて見たものの続かず、セクシー路線に転換した後は、お約束の「パパ活コース」に落ち着いたという。前出のキャバクラ店店長・森野さんがいう。
「キャバクラやクラブ、ガールズバーで働いていた子たちが、簡単に儲かるのならパパ活とかセクシーチャット嬢でいいやと流れていってしまう危惧はしていました。お金だけで言えばそちらの方がいいかもしれないし楽ですから。ただ、そういう子は一部のみで、みんなキャバクラなどの接客業が好きなのだと信じていました……。店があっても女の子はいない、となれば店は成り立ちません。店を閉めるだけでなく、キャバクラという形態が先細りしていくかもしれません」(森野さん)
そもそもキャバクラ自体に客が戻っていないため、こうして流出する嬢に歯止めがかけられない。また一部には、一対一で接客をするより「リモート」方式の気軽さ、楽さに味をしめ、あまりよろしくない方法で金を稼ぐ元キャバ嬢たちも出始めた。やっと動き出したとはいえ、まだ「完全に日常が戻った」とは言い難い状況下において「接待を伴う」ような飲食店は、確かに不要といえば不要なのかもしれない。しかし、そこで働いている人たちもいれば「接待」は長らく日本に根付いてきた文化でもある。こうした「夜の街」文化はいま、衰退してしまうか否かの岐路に立たされいる。