まず、インディテックスの2020年第1四半期(2月~4月)の売上高は前年同期比44.7%減と大きく沈みました。これは新型コロナの大流行による店舗閉鎖やロックダウンの影響です。H&Mの2020年第2四半期(3月~5月)の売上高は前年同期比50.1%減とインディテックスを上回る減収幅となりました。これも時期的にコロナによる影響です。
一方、ファーストリテイリングは2020年8月期決算の下半期である3月~8月の売上高を13.8%減と見込んでいますが、減収幅が3社のうちでもっとも軽微となります。
その理由はいろいろとありますが、ZARA、H&Mの両方の主要販売地域がコロナ被害の甚大だった欧米であるのに対して、ファーストリテイリングは欧米での販売店舗数は少なく、日本や中国などの被害が軽微だったアジア地区に偏っていたことが幸いしました。
また、自粛明けの6月の日本国内アパレル各社の月次速報を見ていると、売上高はほぼ前年並みというところが多く、日本国内ではZARA、H&Mよりも圧倒的に強いユニクロにとっては有利な条件が揃っています。
H&Mはコロナ前から業績が停滞しつつあり、日本市場においては存在感が希薄化していたように感じられます。2008年に日本初上陸した際の過熱したフィーバーぶりが10年後にはすっかり静まりかえってしまいました。
それは直近10年前後の業績推移を見ても明らかです。決算を比較してみると、H&Mの営業利益のピークは2015年11月期。その後、出店加速による売上増は続くものの、営業利益は一度もピークを超えることが出来ずに現在に至っています。