国内

感染者数の増減に一喜一憂しないための「陽性率」冷静な見方

感染再燃で警戒を呼びかける小池百合子・東京都知事(時事通信フォト)

感染再燃で警戒を呼びかける小池百合子・東京都知事(時事通信フォト)

 新型コロナの感染が再拡大している。緊急事態宣言の解除とともに、人々が日々の生活や社会経済活動を再開していくのに合わせて、徐々に感染拡大の深刻さが増している。日本全国の新規感染者数は、7月中旬に600人を超える日もあり、緊急事態宣言が出ていた4月以来の高さとなっている。この感染再燃をどうみたらよいのか──。ニッセイ基礎研究所主席研究員の篠原拓也氏が考察する。

 * * *
 新型コロナの感染拡大の動向は、なかなか先読みができない。そんな中で、日々メディアでは新規感染者数が報じられている。この数字は直感的で分かりやすく、インパクトがある。感染拡大の状況を端的に表すものとして、気にかけている人は多い。

 新規感染者数はどれだけ検査を行ったか、すなわち検査数に依存する。極端なことを言えば、検査数がゼロならば新規感染者数もゼロとなってしまう。それでは、感染拡大の動向をとらえるには、どんなデータをみていけばよいだろうか。少し考えてみたい。

新規感染者数の“信ぴょう性”

 5月25日に全国で緊急事態宣言が解除されてから約1か月間、全国の新規感染者数は毎日100人未満にとどまっていた。そのため、国内のコロナ感染はこのまま収束するかにみえた。

 しかし、6月下旬から新規感染者数は徐々に増えはじめた。7月中旬には、4月のピーク時に迫る600人超となる日も出てきた。

 特に、東京都の新規感染者数の推移は激しい。5月には、わずか2人という日もあった(23日)が、6月以降徐々に増えていき、7月17日には293人と、4月のピーク時をも上回る新規感染者数となっている。

 これまでのところ、7月の新規感染者の大半は若齢者で、重症化したり死亡に至ったりするケースは限られている。しかし、今後、高齢者や基礎疾患を抱えた人などに感染が拡大すれば、入院する人が増えて医療の現場が逼迫する恐れもある。医療機関は、感染拡大への警戒を強めている。

 この新規感染者数の数字は、日々の変動が大きい。そのため、一喜一憂する原因となりがちだ。

 たとえば、毎週月曜日は新規感染者数が少ない。これは、前日の日曜日に休みの医療機関が多く、持ち込まれる検体数が少ないため、月曜日に確認される人数も少なくなる──といわれている。

 また、4月の感染拡大時には、PCR検査の実施可能数が今よりも少なく、必要な検査が行われていないのでは? との声があった。つまり、新規感染者数の信ぴょう性には疑問が投げかけられていた。

 このように、検査数しだいで新規感染者数は変わってくる。新規感染者数だけをみていても、感染拡大を十分に把握できないかもしれない。

関連記事

トピックス

田中圭
《田中圭が永野芽郁を招き入れた“別宅”》奥さんや子どもに迷惑かけられない…深酒後は元タレント妻に配慮して自宅回避の“家庭事情”
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告(中央)
《父・修被告よりわずかに軽い判決》母・浩子被告が浮かべていた“アルカイックスマイル”…札幌地裁は「執行猶予が妥当」【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
ラッパーとして活動する時期も(YouTubeより。現在は削除済み)
《川崎ストーカー死体遺棄事件》警察の対応に高まる批判 Googleマップに「臨港クズ警察署」、署の前で抗議の声があがり、機動隊が待機する事態に
NEWSポストセブン
ニセコアンヌプリは世界的なスキー場のある山としても知られている(時事通信フォト)
《じわじわ広がる中国バブル崩壊》建設費用踏み倒し、訪日観光客大量キャンセルに「泣くしかない」人たち「日本の話なんかどうでもいいと言われて唖然とした」
NEWSポストセブン
北海道札幌市にある建設会社「花井組」SNSでは社長が従業員に暴力を振るう動画が拡散されている(HPより、現在は削除済み)
《暴力動画拡散の花井組》 上半身裸で入れ墨を見せつけ、アウトロー漫画のLINEスタンプ…元従業員が明かした「ヤクザに強烈な憧れがある」 加害社長の素顔
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま入学から1か月、筑波大学で起こった変化 「棟に入るには学生証の提示」、出入りする関係業者にも「名札の装着、華美な服装は避けるよう指示」との証言
週刊ポスト
藤井聡太名人(時事通信フォト)
藤井聡太七冠が名人戦第2局で「AI評価値99%」から詰み筋ではない“守りの一手”を指した理由とは
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン
米利休氏のTikTok「保証年収15万円」
東大卒でも〈年収15万円〉…廃業寸前ギリギリ米農家のリアルとは《寄せられた「月収ではなくて?」「もっとマシなウソをつけ」の声に反論》
NEWSポストセブン
SNS上で「ドバイ案件」が大騒動になっている(時事通信フォト)
《ドバイ“ヤギ案件”騒動の背景》美女や関係者が証言する「砂漠のテントで女性10人と性的パーティー」「5万米ドルで歯を抜かれたり、殴られたり」
NEWSポストセブン
“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン
田村容疑者のSNSのカバー画像
《目玉が入ったビンへの言葉がカギに》田村瑠奈の母・浩子被告、眼球見せられ「すごいね。」に有罪判決、裁判長が諭した“母親としての在り方”【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン