球場でのコロナ対応は、「球審のスタイル」にも変化を及ぼすかもしれない。球審の構えには「両足を並行に構える(投手に正対する)ボックススタンス」と「打者側と反対側の足(右打者なら審判の右足)を大きく後ろに引くシザーススタンス」に分かれる。NPBではボックススタンスが主流だが、シザーススタンスは打者に背を向けるように体をねじってストライクコールをするため、打者や捕手に息がかかりにくい。
シザーススタンスを日本で最初に取り入れたのは、セ・リーグの元審判部長で、審判部指導員の経験もある小林毅二氏。小林氏に見解を訊くと、「僕は日本のプロ野球にメジャー的なスタイルを取り入れたかっただけ。飛沫のことなんて考えたこともなかったなぁ」と苦笑いする。
それよりも小林氏が気にしているのは「汗」だという。
「汗は防球マスク内に溜まらず下に落ちるようなっているが、夏場の屋外球場では1試合で2~3キロ以上痩せるぐらい汗をかく。試合中に何度も防球マスクの内側を拭くが、それが汗か唾液かは区別できないでしょう。マスクではなく防球マスク内にフェイスシールドを装着しているとはいえ、想像以上に球審は過酷になっていると思いますね」
間もなく梅雨が明け、猛暑の季節。審判とコロナとの対戦は、これから本番を迎える。