「私が政治家になったことには『あれほど言ったではないか!』と大激怒するに違いなく、また、田中先生にも『田中よ、なぜ倅を政治家などにした!』と今頃あの世で話しているのではないかと思います」(石破氏)
今でも、亡き父母の夢を見ることがあるという。
「母が何か台所で用意していて父が家にいるような、普通の日常の風景。その風景の2人は怖い父でも母でもないんだ。うちは母もとても厳しい人でしたから、そんな夢を見た朝は『ああ、会えたな』なんてほのぼのした気持ちになるもんです。夢では父も母も優しいけど、VRなんかで話した日にはほのぼのとはならないな(笑い)。厳しいことを言ってくるに違いない。使うのは非常に怖いね」
親、配偶者、兄弟、そして子供……。家族を亡くす悲しみや絶望は、当人しかわかり得ない。それでもいつか、VR技術が遺族の悲しみを癒す日が来るのだろうか。
※週刊ポスト2020年7月31日・8月7日号