そんな中で、7月22日に始まった「Go To トラベルキャンペーン」。岩手ではないが、私自身、帰省したいと実家に相談したら、妹に「近所のウィークリーマンションで1週間隔離した後なら帰ってきていいよ」と言われて唖然とした。東京や大阪など人の流入が激しい都市部では県を跨いで通勤している人も多く、それが日常ということもあるが、感染者数の少ない地方では、コロナに対する人々の受け取り方は全く違うと実感した。
キャンペーンを利用して、感染者ゼロの岩手県への旅行を計画していた人もいただろう。「岩手県なら安全」という思い込みから観光客は行きやすいし、県外へ出て行く人も「自分さえ対策していれば大丈夫」という心理が働きやすい。だが、ついに感染者が出た今、最初の情報が印象に強く残りやすい「初頭効果」ではないが、「1番目の感染者」はメディアの関心も高く、人々に与えるインパクトも大きい。せっかく旅行に行っても、一時世間を騒がせた自粛警察がここぞとばかりに動き出すかもしれない。
そう思った矢先、岩手県の会見の準備中に2人目の感染が判明。こちらは宮古市の30代の男性だという。このニュースを聞き、不謹慎にも「良かった」と思ってしまった。なんともタイミング良く2人目が確認されたものだ。これで犯人探しが自粛されることを願うばかりである。
29日は全国で1261人の感染が確認され、1日当たりの感染者は初めて1000人を越えた。小池百合子東京都知事は「第2波という認識だ」と発言したが、まさにウイルスが全国規模に拡大した第2段階と捉え、国も自治体もコロナ対策を考え直す時期かもしれない。