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堀切菖蒲園近くの角打ちは50年通っても春夏冬(あきない)店

昭和の香りと人情が充満する下町、堀切の角打ちでは、飲みながら打つ将棋も一興

 京成電鉄・堀切菖蒲園駅を線路沿いに数分、昔ながらの商店が連なる一角に店を構える『金子酒店』。重厚なレンガ張りの建物の看板に浮き上がるように金文字の店名が、昼下がりのやわらかな日差しできらっと輝いている。

 東京の下町・葛飾区堀切は花菖蒲の名所で知られるが、この店の名物女将は「いつもやさしくて、たまに棘もある薔薇のような人」(70代、警備業)と客から称される2代目、金子芳枝(68歳)さんだ。

「やさしさとときどき見せる厳しさとがあって、女も惚れるかっこいい女性。ママ(芳枝さん)に会いたくてほぼ毎日通っているの」(隣駅のお花茶屋から通う70代女性)

「この店に来るのは、ママがいるから。私は実は酒が飲めないんだけど、ママには人生相談もしている。ママは気さくで働き者でまじめ。苦労もしてきているからね」(40代飲食業)

 創業昭和27年。70年近く続く下町の老舗角打ちには、明るいうちから近隣の陽気な住人たちが次々とやってくる。

 芳枝さんは23歳で酒屋に嫁ぎ、2代目店主だった夫を早くに亡くしてからは、女将として20年余り、女手一つで店を切り盛りしてきた。365日、毎日休むことなく店に立ち続け、堀切の住民たちをやさしく迎えているのだ。

 店のど真ん中にある大きなテーブルを角打ち台にして、将棋を指したり、おしゃべりに興じたり…。客らはみんな自由気ままにのびのびと寛いでいる。

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