内藤裕子さんが番組の取材でさいたま市立漫画会館を訪れた時の写真
山根:私の頃は女性の異動がなくて残念だった。アナとして自分の言葉を獲得するためにも、地方経験は貴重だと思うのよね。
内藤:山根さんが2005年にアナウンス室長になってからは女性の異動が増え、海外支局へのキャリアパスも導入されましたよね。
山根:女性でも“今なら行ける”というタイミングで異動してほしいと伝えてきました。異動での経験が放送人として生涯やっていくのに欠かせない“自分の言葉”となるからです。
内藤:私もこれまでの様々な経験・出会いが人間としての幅を広げ、伝え手としての幹を太くしてくれたと実感しています。山根さんに「自分の言葉の水がめを満たしておきなさい」と言われたことは今も大切な指針です。
【プロフィール】
◆やまね・もとよ/1948年生まれ、山口県出身。1971年にNHK入局。美術や旅番組、ナレーションなどを担当した。2005年には女性初のアナウンス室長に就任、『NHK紅白歌合戦』の総合司会も務めた。2007年に退局しフリーに。放送中のドラマ『半沢直樹』(TBS系)のナレーションも務めている
◆ないとう・ゆうこ/1976年生まれ、東京都出身。1999年にNHK入局。『ニュース7』や大河ドラマ『篤姫』の紀行ナレーション、 『あさイチ』リポーターなどを担当。2017年に退局後は「カレー大学院」を首席卒業し、カレーにまつわる仕事も多数こなしている。
取材・文■河合桃子
※週刊ポスト2020年8月14・21日号