国内

コロナの後遺症にPTSD、うつ、不眠症など 一生続く可能性も

緊急事態宣言中、医療機関はパンク寸前だった(写真/アフロ)

 いまなお感染が拡大し続けている新型コロナウイルス。感染すると2割が重症、8割が軽症と言われているが、その一方で後遺症に悩まされるケースも多い。

 海外では新たな知見が続々と報告されている。英マンチェスター大学の聴覚学の専門家は8月2日までに、新型コロナウイルス感染症の後遺症として、聴力の悪化や耳鳴りが長期間続くことがあるという研究結果を公表した。

 退院から8週間経過した121人を調査したところ、8人が聴力の悪化、別の8人が耳鳴りの発生を認めたという。専門家は新型コロナが聴覚系システムの一部に問題を起こす可能性があると分析する。

 そのほかの欧米の研究では、退院後に頭がもやもやする「ブレイン・フォグ」やPTSD(心的外傷後ストレス障害)、うつ病、不眠症、腎不全、気分障害、認知機能の低下などがみられた。

 そうした後遺症は数年先か、場合によっては一生続く可能性がある。また退院後は、医療費が自己負担になるというネックもある。

 パンデミックから続々と後遺症が報告されているだけに、今後も新たな症例が報告されるかもしれない。しかも、後遺症は、どのタイミングで爆発するかわからない“時限爆弾”のようなもの。現時点では、重症化の減った新型コロナ自体より大きなリスクかもしれない。

 なぜ新型コロナはさまざまな後遺症を生み出すのか。

 国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんが指摘する。

「新型コロナウイルスには、血管の細胞を破壊する特徴があります。そのため多くの内臓や器官に栄養や酸素が行き届かなくなり、さまざまな合併症が起こります。また傷ついた血管を修復する過程でできた血栓や塞栓によって血管が詰まると、脳卒中や心筋梗塞などを引き起こします」

 4月上旬、新型コロナに感染した米国人ブロードウェイ俳優の右足に血栓ができて、右足切断を余儀なくされた。しかし、体調はよくならず筋萎縮によって寝たきり生活を続け、95日間の闘病もあえなく、7月にこの世を去った。

 漢方内科と耳鼻科感染症が専門で、新中野耳鼻咽喉科クリニック院長の陣内賢さんが推測するのは、免疫システムが過剰反応する「サイトカインストーム(免疫暴走)」の影響だ。

「感染すると、体内の免疫システムがウイルスという異物を撃退しようとしますが、その際に正常な細胞にまで障害を与えてしまい、体内のあちこちに不調が生じます。現在、新型コロナは全国的に感染拡大し、サイトカインストームの頻度も高くなると考えられますが、今後は後遺症の長期化が多発する恐れがあります。

 クリニックで感染疑いのある人を診察することもありますが、ほとんどは通常の風邪症状の患者さんです。しかし、確証はありませんが、こういう軽症のかたのなかにも感染者が少数とはいえ紛れていないとも限らず、のちのち後遺症が生じる可能性もあると危惧しています」(陣内さん)

 厚労省は実態解明のため、今月から来年3月まで約2000人を対象に、後遺症の調査を始めるという。

※女性セブン2020年8月20・27日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《スクショがない…》田中圭と永野芽郁、不倫の“決定的証拠”となるはずのLINE画像が公開されない理由
NEWSポストセブン
多忙の中、子育てに向き合っている城島
《幸せ姿》TOKIO城島茂(54)が街中で見せたリーダーでも社長でもない“パパとしての顔”と、自宅で「嫁」「姑」と立ち向かう“困難”
NEWSポストセブン
小室圭さんの“イクメン化”を後押しする職場環境とは…?
《眞子さんのゆったりすぎるコートにマタニティ説浮上》小室圭さんの“イクメン”化待ったなし 勤務先の育休制度は「アメリカでは破格の待遇」
NEWSポストセブン
女性アイドルグループ・道玄坂69
女性アイドルグループ「道玄坂69」がメンバーの性被害を告発 “薬物のようなものを使用”加害者とされる有名ナンパ師が反論
NEWSポストセブン
遺体には電気ショックによる骨折、擦り傷などもみられた(Instagramより現在は削除済み)
《ロシア勾留中に死亡》「脳や眼球が摘出されていた」「電気ショックの火傷も…」行方不明のウクライナ女性記者(27)、返還された遺体に“激しい拷問の痕”
NEWSポストセブン
当時のスイカ頭とテンテン(c)「幽幻道士&来来!キョンシーズ コンプリートBDーBOX」発売:アット エンタテインメント
《“テンテン”のイメージが強すぎて…》キョンシー映画『幽幻道士』で一世風靡した天才子役の苦悩、女優復帰に立ちはだかった“かつての自分”と決別した理由「テンテン改名に未練はありません」
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
《ヤクザの“ドン”の葬儀》六代目山口組・司忍組長や「分裂抗争キーマン」ら大物ヤクザが稲川会・清田総裁の弔問に…「暴対法下の組葬のリアル」
NEWSポストセブン
1970~1990年代にかけてワイドショーで活躍した東海林さんは、御年90歳
《主人じゃなかったら“リポーターの東海林のり子”はいなかった》7年前に看取った夫「定年後に患ったアルコール依存症の闘病生活」子どものお弁当作りや家事を支えてくれて
NEWSポストセブン
テンテン(c)「幽幻道士&来来!キョンシーズ コンプリートBDーBOX」発売:アット エンタテインメント
《キョンシーブーム『幽幻道士』美少女子役テンテンの現在》7歳で挑んだ「チビクロとのキスシーン」の本音、キョンシーの“棺”が寝床だった過酷撮影
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKIが結婚することがわかった
女優・趣里の結婚相手は“結婚詐欺疑惑”BE:FIRST三山凌輝、父の水谷豊が娘に求める「恋愛のかたち」
NEWSポストセブン
タレントで医師の西川史子。SNSは1年3ヶ月間更新されていない(写真は2009年)
《脳出血で活動休止中・西川史子の現在》昨年末に「1億円マンション売却」、勤務先クリニックは休職、SNS投稿はストップ…復帰を目指して万全の体制でリハビリ
NEWSポストセブン
太田基裕に恋人が発覚(左:SNSより)
人気2.5次元俳優・太田基裕(38)が元国民的アイドルと“真剣同棲愛”「2人は絶妙な距離を空けて歩いていました」《プロアイドルならではの隠密デート》
NEWSポストセブン