最高混雑率は「199%」の東西線
混雑率が高ければ乗客が多いことになる。ただ、混雑率がどれほどの混雑状態を表すのか、一般の人には分かりづらい。そこで国土交通省は混雑率の目安を示している。
100%は定員乗車で、座席につくか、つり革につかまるか、ドア付近の柱につかまることができる状態だ。150%は楽に新聞を広げて読める。180%は折りたたむなど無理をすれば新聞を読める。200%は体がふれあい相当圧迫感があるが、週刊誌程度なら何とか読める。250%は電車がゆれるたびに体が斜めになって身動きができず、手も動かせない状態とされている。
では、実際の混雑率はどうか? 同省はラッシュ時の平均混雑率を毎年公表している。2018年度は、東京圏が163%、大阪圏が126%、名古屋圏が132%だった。主要区間の混雑率をみると、東京メトロ東西線の「木場駅→門前仲町駅」間で、午前7時50分~8時50分の時間帯が199%と最も高かった。
このほかにも、主要区間ごとに混雑率が公表されている。通勤時に電車に乗る人は、利用する路線の混雑率を確認しておくとよいかもしれない。
混雑の「見える化」が広がっているが…
新型コロナの感染防止策の意味も含めて、鉄道各社は混雑状況の見える化に取り組んでいる。
東京圏では、JR東日本がスマートフォンアプリで電車の混雑情報を提供するサービスを7月15日より開始している。これは、混雑状況を5つの段階で表示するものだ。山手線では車両ごとにほぼリアルタイムの情報、その他の東京圏のほぼすべての線区では、編成ごとに約5分前の情報を表示している。
また、東急、小田急、京急などの大手私鉄でも、ホームページやアプリで駅や電車内の混雑率を公表するようになっている。こうした動きが、全国に広がっていくことを期待したい。今後は、電車に乗るときは、スマホのアプリで混雑していな編成や車両を調べることが、当たり前となっていくかもしれない。
ただ、多くの乗客がアプリを見て、混雑していないと表示されている車両に移動するようなことが起これば、そこに新たな“密集”が生じてしまうかもしれない。アプリ情報の上手な活用方法については、さらに考える必要があるだろう。