スポーツ

フィギュア選手のコーチ選び、ライバルが同門だと緊張関係も

2019年のGPファイナルを制した「ロシア3人娘」のうち、コストルナヤ(中央)とトルソワ(右)が移籍した(時事通信フォト)

◆最強チームからの選手流出……一体何が起きているのか?

 ロシアのフィギュアスケート界が揺れている。昨年のGPファイナルの女王、アリョーナ・コストルナヤ(16)が、これまで指導を受けてきたエテリ・トゥトベリーゼコーチの元を離れ、トリノ五輪金メダリストのエフゲニー・プルシェンコ氏に師事することになったのだ。その後、移籍手続き上の問題によって、今季はこれまでの所属(サンボ70)になるとの報道も出ているが、すでにプルシェンコ氏のアカデミーでの練習動画や、プルシェンコ氏の息子(サーシャ君)との2ショット写真が公開されており、移籍は決定的のようだ。

 コストルナヤの移籍が騒がれた背景には、美しいトリプルアクセルを跳ぶコストルナ自身の資質の高さに加え、エテリ陣営から選手の流出が相次いでいることがある。平昌五輪の金メダリスト、アリーナ・ザギトワをはじめとするトップ選手を擁し、女子フィギュアスケートを席巻してきたエテリコーチ。だが、コストルナヤとともに天才3人娘と言われたアレクサンドラ・トルソワ選手もすでにプルシェンコ氏の元へ移籍し、12歳で数種類の4回転ジャンプを成功させているベロニカ・ジリナも、同様にエテリ氏からプルシェンコ氏の元に移った。

 こうした状況に対し、浅田真央さんらを指導したタチアナ・タラソワ氏は理解を示し、「ライバルと同じ氷の上で滑りながら、オリンピックへの準備をしたい選手はいない」とロシア紙の取材に答えている。プルシェンコさんの元に有力選手が集まれば、同じ問題が起きると予想されるが、エテリ門下への過度な集中が、差し当たっては問題ということか。

 かつて日本でも、同様のことは起きた。2008年、高橋大輔さんがニコライ・モロゾフ氏の指導を受けていたとき、当時ライバルだった織田信成さんもモロゾフ氏の指導を受けることになったと知って、高橋さんはモロゾフ氏との師弟関係を解消した。モロゾフコーチは2人を同時に教えることに問題はないと考えたようだが、高橋さんは「僕は自分だけを見てほしいから」と、コーチ変更の決断を下した。

 ライバル関係という点でいえば、荒川静香さんと村主章枝さんも、長年、国内のトップを争うライバルだった。長野五輪(1998年)は荒川さんが出場、次のリレハンメル五輪(2002年)は村主さんが出場、そして、その次のトリノ五輪(2006年)には2人ともが出場した。どちらも早稲田大学を卒業しており、2人と同時期に、早稲田大学フィギュアスケート部に所属していた元選手はこう語る。

「リンクで目もあわせないくらいの関係の悪さで、いつも周りがハラハラしていました。今ほど女子選手が多くない時代ですから、常に比べられて大変だったと思います」

関連記事

トピックス

“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
一般家庭の洗濯物を勝手に撮影しSNSにアップする事例が散見されている(画像はイメージです)
干してある下着を勝手に撮影するSNSアカウントに批判殺到…弁護士は「プライバシー権侵害となる可能性」と指摘
NEWSポストセブン
亡くなった米ポルノ女優カイリー・ペイジさん(インスタグラムより)
《米ネトフリ出演女優に薬物死報道》部屋にはフェンタニル、麻薬の器具、複数男性との行為写真…相次ぐ悲報に批判高まる〈地球上で最悪の物質〉〈毎日200人超の米国人が命を落とす〉
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン