厚労省は、原則として今年9月末までに約440病院が再編統合の方向性を示すことを求めていたが、新型コロナの感染拡大によっていったん期限を取り下げた。だが25年度を目標に再編統合を進める方針は変わっていない。山田氏が疑問を投げかける。
「公立・公的病院は地域に溶け込んだ、住民に不可欠の社会インフラです。今回のコロナ禍でも多くの患者を受け入れ、医療従事者が献身的な医療をしています。国の地域医療構想には感染症対応の視点が欠落しており、再編統合に向けた全国一律の指標のあり方には疑問があります。今回のコロナ対応の実績を検証したうえで多角的に分析し、一律的な病床削減方針を見直すべきです。
一方で自治体や病院側も、高齢化が進行する社会に向けて、前向きな改革ビジョンを自ら打ち出す必要があります」
闇雲に病院を減らすのではなく、高齢化社会に適応した、地域住民ファーストの医療体制を再構築することが望まれる。
※週刊ポスト2020年8月28日号