意外なのは2位の「内科」、5位の「呼吸器内科」、6位の「消化器内科」など内科領域の診療科が上位に入っていることだ。
そこには“需給バランスの崩壊”──つまり、高齢化の加速で患者数が増え続けているのに、医者の数が追いついていない実態がある。
昨年2月の厚労省の発表によれば、2036年に最も医師数が不足する見通しなのは内科で、必要数に1万4189人が足りなくなるとされる。前出・油井氏が言う。
「内科医不足となれば、複数の持病を抱えた高齢患者の健康管理がおろそかになることが懸念されます。たとえば糖尿病患者の場合、血糖値や血圧をコントロールしないと重症化を招き、合併症を起こしやすくなる」
当然、深刻な医師不足は医療事故の要因にもなる。「医療事故調査・支援センター2019年年報」によると、最近5年間の事故報告数が多い順から外科264件、内科203件、整形外科136件、心臓カテーテル手術が多い循環器内科が128件となっている。
手術件数が多い外科を除けば、医師不足ワースト10と重複する診療科ばかりだ。
「昨年末に厚労省が発表した統計によれば、2018年末の医師数は32万7210人で2年前の調査から7730人(2.4%)増えています。医師の総数が増えても医師不足が解消されないのは、診療科と地域による医師の偏在が大きいからです。高齢患者が増える中、国として対策を考える必要がある」(同前)
※週刊ポスト2020年8月28日号