芸能

渡哲也さん 最後まで消えなかった石原裕次郎さんへの情熱

石原プロ創立20周年記念のケーキのロウソクを吹き消す裕次郎さん(中央)と渡さん(右)

 8月10日、俳優・渡哲也さんが肺炎で亡くなった。78才だった。1964年に日活で俳優デビューを飾った渡さんは、1971年に石原裕次郎さん(享年52)が率いる石原プロモーションに入社した。1987年に裕次郎さんが亡くなると、渡さんは石原プロの二代目社長に就任。2011年に社長を退任するも、2017年に取締役に復帰した。

「先代(裕次郎さん)に看板を汚さずに返したい」――。渡さんは生前、繰り返しこの言葉をつぶやいていた。

「裕次郎さんは映画製作の大変さを痛いほど知っていたため、石原プロを一代限りで閉じることを望んでいました。しかし、渡さんは、まき子夫人や若手の俳優陣の生活を守るために、裕次郎さんに“背いて”石原プロを維持することに東奔西走する道を選んだのです」(映画関係者)

 ただ、その道のりは平坦なものではなかった。自分自身の病に加え、小林正彦専務(享年80)との決別、そして弟の渡瀬恒彦さん(享年72)が先立つ悲しみの淵に沈んだ。

「渡さんは自分ががんになってもたばこをやめなかったけど、恒さんはがんで苦しんでいる渡さんの様子を間近で見て、たばこをきっぱりとやめたような人。そんな調子だから、渡さんは確実に自分が先に死ぬと思い、恒さんに遺言を託していたほどでした。恒さんが亡くなったときは、渡さんも肺気腫などの持病が悪化していた時期で、その頃から会社の清算について、本腰を入れるようになりましたね」(前出・映画関係者)

 渡さんは2017年に取締役に返り咲くが、これも会社を閉じるための動きだった。

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