もちろん刻々と状況は変わるので、定期的なチェックをするとともに、“ここがダメなら、次はここに行く”といった候補を選定していく。かかりつけ医がまだ外来を受け入れているのであれば、通院時にもしもの時は他のどの病院に行けばいいか相談してみる手もあるだろう。上医師によれば、「ベッド数が多く、比較的郊外にある病院」は来院拒否をされにくい傾向があるという。
「それでも断わられ、知り合いなどのツテもないのなら、救急車を呼んで救急外来を探してもらうぐらいしか手はないかもしれない」(上医師)
それほど、初診の患者を受け入れる病院は限られてくるのだ。病院の倒産や消滅で通院・入院ができなくなる可能性もある。
「その場合は、保健所や医師会などに紹介状を書いてもらい、他の病院に振り分けられることになります。ただし、その病院が自宅から遠いなどの不利益を被るケースは少なくない」(上医師)
紹介状を受け取る際にはカルテや検査結果のコピーも一緒にもらえるのが一般的だが、もし渡されなかったら、患者から要求する必要がある。さらに、カルテがあっても、安心はできない。
「カルテが他の病院の医師に引き継がれれば、これまでと変わらない治療が受けられるかといえば、そうではない。実際には、かかりつけ医が、カルテには書かれていないような患者の微妙な体調変化や予兆を把握しているからです。そのため、貴重な情報が次の医師に引き継がれない恐れがある。生活習慣病や脳に関わる病気で定期的な治療を受けている人への影響は深刻です」(上医師)