「核抜き条例」持つ北海道も困惑

 事前の住民調査もなく、突如町長が応募の意向を表明したことで人口2900人余りの町は大騒ぎ。町民らの反応も分かれている。新聞報道などでは賛否それぞれの声が伝えられている。

「どんどん人口が減っているし、過疎をとるか核をとるか、それだけだ」
「この町だけでなく、周りの市町村だって迷惑だと思うよ」

 目先の20億円か、将来的な安全か、町は揺れている。

 寝耳に水の話に、全国で唯一、核のゴミを「受け入れがたい」とする「核抜き条例」を持つ北海道も困惑している。

 8月14日には土屋俊亮副知事が町長と面談し、応募を控えるよう要望した。これに対し町長は「厳しい財政状況のもとでの今後のまちづくりを考えると、応募も選択肢の一つだ」と前向き姿勢を崩さなかったようだ。町は今後、8月26日の意見交換の結果に基づいて調査に応募するかどうかを9月中に決める方針だ。

 町役場の関係者に改めて経緯を確認した。すると、こんな答えが返ってきた。

「昨年4月から町ではエネルギー政策を学ぶエネルギー勉強会を開催していますが、今年に入ってから(勉強会で)経済産業省の方から処分場についての話があったと聞いています。その会に出席していないので詳細は分かりませんが……」

 さらに調べてみると、同町は2019年度から国のエネルギー政策に関する住民の理解を深めるための勉強会を開催してきた。今年6月からは、原子力発電環境整備機構による核のゴミ地層処分の勉強会も開いてきた。その勉強会で、地質図や論文などに基づく文献調査を受ければ、交付金を得られることを説明されたという。町長の前向き発言の背景にはこうした経緯があったようだ。

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