国内

不適切な医療行為繰り返す“リピーター医師”が消えないワケ

危ない医者はなぜいなくならない?

 7月23日、難病「筋萎縮性側索硬化症」(ALS)患者の女性から依頼を受けて薬物を投与、殺害したとして医師2人が逮捕された。この嘱託殺人事件以外にも、医師の不祥事は後を絶たない。医師への“処分”には、どのようなものがあるのか。医療過誤問題に詳しい弁護士の貞友義典氏が解説する。

「医師に対する行政処分は戒告・医業停止・免許取り消しの3つ。医道審議会の答申を受け、厚生労働大臣が処分を決定するというかたちです」

 2017年から2020年6月の3年半の間に、行政処分を受けた医師や歯科医師は211人。覚せい剤取締法違反や危険運転致死傷、暴行・傷害など刑事事件で起訴された者が複数含まれる。昨年12月には、あおり運転でバイクを転倒させけがを負わせ、道交法違反などで有罪が確定した男性医師に医業停止3年の処分が下された。

 気がかりなのは、繰り返し行政処分を受けながらも医療行為を続ける医師がいることだ。2018年に痴漢容疑で逮捕された医師は、以前にも同様の逮捕歴があり、2007年以降に3回もの医業停止歴があった。

 過去に行政処分を受けた医師の情報を、患者が把握する術はあるのか。厚労省に聞いた。

「行政処分が決まると実名や事件当時の医療機関、事件概要などが記載されたプレスリリースを報道機関向けに出しますが、個人情報が含まれるため積極的な公開はしていません。返信用封筒を同封の上、申請していただければ送付はできる。ただし一部が黒塗りになる場合があります」(医事課免許登録係)

 患者が知る術は極めて限定的なのだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン