公開された患者宿泊のホテル。基本的に部屋から出られない(時事通信フォト)

 新型コロナウイルスに感染した無症状患者が、宿泊施設から逃げ出す、などと言った事案も全国で相次いでいる。感染していない市民から見ると迷惑この上ない話ではあるが、無症状者にとってみれば、自分自身としては「健康体そのもの」なのであり、宿泊そのものが「苦痛この上ない」という。岩田さんの知人であり、元無症状の感染者・飯塚司さん(仮名・30代)の話。

「検査の結果、感染していると言われましたが体調は何も変わらない。都内のビジネスホテルに2週間程度いるようにいわれて、最初は従おうと思いました。ただ、部屋から出るのは弁当を取りにロビーに行くタイミングだけ、ホテルの窓は開かず、日がな一日、閉じこもるだけというのは本当にきつかった。筋トレなどをしてなんとか気を紛らわしましたが、夜中に脱走者が出たとかでざわついたりすることも何度かありました」(飯塚さん)

 確かに、無症状者にとってみれば「健康なのになんで」という疑問を持ちながら過ごす日々は苦痛だろう。関東某県の無症状者宿泊施設でおよそ1週間半を過ごした会社員・中村祐太郎さん(仮名・20代)も、自身が感じた苦痛や疑問を訴える。

「同僚の感染が発覚し、検査を受けたら私も陽性だったというパターンで、ホテル暮らしが始まりました。丸一日ホテルのベッドの上で過ごし、三食出るものの全ては総菜屋の弁当。朝から天ぷらが出ることもあり、三日で飽きました。お茶やお菓子などの差し入れもありますが、全部コンビニのもの。ホテルには看護師が数人と、入り口に警備員がいたようですが、裏口から抜け出せたので、コンビニで酒やタバコを買ってきては、館内でこっそり楽しんでいる人もいました」(中村さん)

 気持ちはわかるが、それで感染を拡げてしまう、という自覚はかの人々にはないのだろうか? トラブルはこれだけではない。

「怒鳴り声が聞こえてくるのはしょっちゅうでした。宿泊者が看護師と口論になっているんです。看護師も二人くらいで何十人もの管理をしなくちゃならないらしく、かなり疲弊していましたし、些細なことで喧嘩していました。宿泊期間が長ければ長いほどみんなイライラし始めて…。コロナうんぬんではなく、人間の嫌な部分ばかりが目に付く、刑務所で生活しているような地獄のような日々。逃げ出したくなる気持ちは本当によくわかります」(中村さん)

 すでに「第二波」の真っ只中とも指摘されている、我が国の新型コロナウイルス感染状況。こうした「無症状」の感染者が今後さらに増えた時、現状のような「閉じ込め」や「隔離」だけでは、さらに大きなトラブルを呼び込むことになりかねない。誰も好き好んで感染したがる人がいない以上、感染者は「被害者」と同様に扱われるべきではないか、仮に自分が「感染者」となった時、そう願うに違いないだろう。またそうすることで、感染者への風評被害も軽減するのではないか、そうした議論がなされるべきフェーズなのだと思うが、いかがだろうか。

関連キーワード

関連記事

トピックス

足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
女性セブン
山下智久と赤西仁。赤西は昨年末、離婚も公表した
山下智久が赤西仁らに続いてCM出演へ 元ジャニーズの連続起用に「一括りにされているみたい」とモヤモヤ、過去には“絶交”事件も 
女性セブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
大谷翔平の伝記絵本から水谷一平氏が消えた(写真/Aflo)
《大谷翔平の伝記絵本》水原一平容疑者の姿が消失、出版社は「協議のうえ修正」 大谷はトラブル再発防止のため“側近再編”を検討中
女性セブン
被害者の宝島龍太郎さん。上野で飲食店などを経営していた
《那須・2遺体》被害者は中国人オーナーが爆増した上野の繁華街で有名人「監禁や暴力は日常」「悪口がトラブルのもと」トラブル相次ぐ上野エリアの今
NEWSポストセブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
運送会社社長の大川さんを殺害した内田洋輔被告
【埼玉・会社社長メッタ刺し事件】「骨折していたのに何度も…」被害者の親友が語った29歳容疑者の事件後の“不可解な動き”
NEWSポストセブン