国内

各地のコロナ対策、宮城と岩手の特徴と米紙絶賛の和歌山

安全宣言を行い、20日ぶりに外来が再開した和歌山県の済生会有田病院(3月4日、時事通信フォト)

 各地自体によって、対策が異なる新型コロナウイルス。当然、その対策の内容によって、結果も変わってくる。

 愛知県、福岡県、沖縄県など地方都市を中心に重症者が増加傾向にある。政府の分科会も「注意が必要」と呼びかけた。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんはこう話す。

「地域の拠点となる都市や観光地は、人が多く集まって3密になりやすい。また以前から『感染経路不明者』が多かったエリアほど新規感染者が増加して、重症者が増える傾向があります」

 一方、100万人都市である仙台を抱えながら、感染を抑えているのは宮城である。これまでの県内感染者数は192人で死亡者は2人にとどまっている(8月25日時点)。

「仙台市は2009年に世界的に蔓延した『新型インフルエンザ』の対策として、感染者が早期に治療ができるように地元医師会と協力して独自に医療提供体制を整えてきました。それは『仙台方式』と呼ばれ、新型コロナでもそのネットワークを7月から応用しています。かかりつけ医がいない発熱患者の相談窓口を設置し症状を聞き取り、コロナの疑いが低い場合は165か所ある中から最寄りの医療機関を複数案内し、疑いがある場合は『帰国者・接触者相談センター』につなぐ紹介システムです」(一石さん)

 和歌山も独自の対策で感染拡大を防いだ。

 和歌山では、2月に国内初の院内感染が済生会有田病院で発生した。その際、仁坂吉伸知事は病院の出入り業者を含め、症状の有無にかかわらず病院関係者474人のPCR検査を10日間で断行。ほかにも病院周辺にウイルスを持ち込んだと思われる中国人旅行者がいなかったかなどの聞き込みを徹底した。陽性者を早期に隔離することで、約3週間で感染の広がりを断ち切ったのだ。

 その迅速な対策は米ワシントン・ポスト紙から「和歌山モデル」と絶賛された。和歌山が国の指導の先を行く対策はほかにもある。血液内科医の中村幸嗣さんが説明する。

「国はICUでの治療や、人工呼吸器、ECMO(人工肺装置)を利用した段階で重症者とします。しかし和歌山はその前の酸素マスクをつけた段階で重症者とみなし、患者に手厚い医療を提供してきました。第一波の経験が生かされ、8月24日現在の死者はわずか4人と重症化を防いでいます」(中村さん)

関連記事

トピックス

炊き出しボランティアのほとんどは、真面目な運営なのだが……(写真提供/イメージマート)
「昔はやんちゃだった」グループによる炊き出しボランティアに紛れ込む”不届きな輩たち” 一部で強引な資金調達を行う者や貧困ビジネスに誘うリクルーターも
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
小室眞子さん“暴露や私生活の切り売りをビジネスにしない”質素な生活に米メディアが注目 親の威光に頼らず自分の道を進む姿が称賛される
女性セブン
組織改革を進める六代目山口組で最高幹部が急逝した(司忍組長。時事通信フォト)
【六代目山口組最高幹部が急逝】司忍組長がサングラスを外し厳しい表情で…暴排条例下で開かれた「厳戒態勢葬儀の全容」
NEWSポストセブン
藤浪晋太郎(左)に目をつけたのはDeNAの南場智子球団オーナー(時事通信フォト)
《藤浪晋太郎の“復活計画”が進行中》獲得決めたDeNAの南場智子球団オーナーの“勝算” DeNAのトレーニング施設『DOCK』で「科学的に再生させる方針」
週刊ポスト
手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《「ダサい」と言われた過去も》大谷翔平がレッドカーペットでイジられた“ファッションセンスの向上”「真美子さんが君をアップグレードしてくれたんだね」
NEWSポストセブン
「漫才&コント 二刀流No.1決定戦」と題したお笑い賞レース『ダブルインパクト』(番組公式HPより)
夏のお笑い賞レースがついに開催!漫才・コントの二刀流『ダブルインパクト』への期待と不安、“漫才とコントの境界線問題”は?
NEWSポストセブン
パリの歴史ある森で衝撃的な光景に遭遇した__
《パリ「ブローニュの森」の非合法売買春の実態》「この森には危険がたくさんある」南米出身のエレナ(仮名)が明かす安すぎる値段「オーラルは20ユーロ(約3400円)」
NEWSポストセブン
韓国・李在明大統領の黒い交際疑惑(時事通信フォト)
「市長の執務室で机に土足の足を乗せてふんぞり返る男性と…」韓国・李在明大統領“マフィアと交際”疑惑のツーショットが拡散 蜜月を示す複数の情報も
週刊ポスト
中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
高校時代にレイプ被害で自主退学に追い込まれ…過去の交際男性から「顔は好きじゃない」中核派“謎の美女”が明かす人生の転換点
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《死刑執行》座間9人殺害の白石死刑囚が語っていた「殺害せずに解放した女性」のこと 判断基準にしていたのは「金を得るための恐怖のフローチャート」
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
《小室圭さんの赤ちゃん片手抱っこが話題》眞子さんとの第1子は“生後3か月未満”か 生育環境で身についたイクメンの極意「できるほうがやればいい」
NEWSポストセブン
中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
【独占インタビュー】お嬢様学校出身、同性愛、整形400万円…過激デモに出没する中核派“謎の美女”ニノミヤさん(21)が明かす半生「若い女性を虐げる社会を変えるには政治しかない」
NEWSポストセブン