山本由伸とともにWエースと称される山岡泰輔(時事通信フォト)
ただ、佐藤氏が指摘するように、今のオリックスは戦力が絶対的に不足しているとは言い切れない。山本由伸(22)、山岡泰輔(24)のWエース、主軸の吉田正尚(27)の3人の若い力は昨年WBSCプレミア12に選出されている。ファームもウエスタンリーグで優勝候補の一角で、タイトルホルダーもいる。若い力が台頭しているにもかかわらず、1996年以来の優勝など望むべくもない状況にあるのはなぜか。
日本一で歯車が狂った
「過ち」は栄光の直後から始まっていた。
NPBでシーズン途中の監督交代はこの2020年で12回あるが、うち5回がオリックス。岡田彰布氏、福良淳一氏を除いて、1~2年で監督が交代するのが常態化している。当然、その度にコーチ陣も大幅に入れ替わる。
「日本一になった1996年オフの“間違い”こそ、悪しき風習の根源でしょう」
そう語るのは長年、オリックスを担当したベテランスポーツ紙デスクだ。
「同年オフに球団は大幅な若返りを図ります。長谷川滋利をエンゼルスに金銭トレードしたのを皮切りに、ベテラン選手を相次いで放出。あまりにも急に進めたことで優勝経験者がいなくなり、若手とベテランの間に溝ができてしまった。
2000年オフには、イチローもマリナーズに移籍。2004年オフの近鉄と合併、清原和博らの入団などで、さらに寄せ集めのチームになってしまった。今のオリックスは、イチローが躍動した1996年当時とは、明らかな“断絶”がある」