成長著しい山本由伸(時事通信フォト)
いま、ワンマンの宮内義彦オーナーが希望を託せる“劇薬”は、そのイチローに監督として古巣復帰してもらうことくらい。ラブコールを送り続けるが、見通しは暗い。
「球団の人事は宮内オーナーの鶴の一声で決まる。オーナーの権限が強いのは巨人や阪神、中日なども同じですが、人気球団と違い、オリックスは親会社に依存しなければ存続も危ぶまれるほどなので、フロント幹部らはオーナーの顔色を窺い続ける。常勝チームを作るには長期的なスパンで編成、育成する必要がありますが、焦る親会社は大物選手を補強して結果を求めるし、フロント幹部は監督やコーチに責任転嫁して頻繁に交代させる。監督が代わることでチーム方針もコロコロ変わる」(スポーツジャーナリスト)
迷走の煽りを受けるのは選手だ。
「昨年オフ、1995~1996年の黄金時代に主軸を打ち、ミスターブルーウェーブと呼ばれた藤井康雄二軍打撃コーチが解任された。引退後もコーチやスカウトとして貢献し、選手からの信頼も厚かっただけに、フロントに公然と不満を口にする選手が出たほど」(同前)
岡田彰布氏も、2009~2011年の監督時代に苦い思いを経験している。
「オレの時もそうやったけど、フロントは、チームのテコ入れのためにシーズン中でも平気でコーチの配置転換をする。フロントは簡単に考えている部分があるが、これをやられると現場は大混乱や。不信感は駆け巡るし、選手のやる気や集中力も鈍る。同じことを阪神でやったら、マスコミから総攻撃を食らうやろな」
引退後、投手コーチとして4球団を優勝に導いた「優勝請負人」でもある佐藤氏も口を揃える。
「プロだから結果が出ない以上、解任は仕方がない。でもシーズン中にコーチを変えて勝てることは絶対にないと思う。球団は起爆剤としてやっているんだろうけど」
※週刊ポスト2020年9月11日号