国内

生きがいを再発見! 「リハビリ旅行」感動のプログラム内容

旅行先での場面に応じたリハビリを経て、その成長を見るリハビリ旅行(写真は2019年までのスナップ)

 高齢になると、病院やデイサービスなどでもリハビリテーションにかかわってもらうことが増える。リハビリといえば、歩行訓練などを寡黙に行うイメージがあり、億劫がる高齢者も少なくない。

 そんな中、リハビリに“旅”という要素を取り入れて利用者の生きがいを引き出している事業所がある。単に介助付きの旅行を楽しむということではなく、旅を目標に準備し、旅程そのものもリハビリになっている。人によってはコンビニまでの小さな道のりも“旅”。非日常に踏み出すワクワク感が大切だという。

 リハビリ推進センター代表の阿部勉さんに、生きがいとなり、生活意欲も引き出すリハビリの力について聞いた。

ワクワクする目標がリハビリ効果をアップ

「高齢のかたに“リハビリで筋力を強化しましょう”と言うだけでは、たいてい取り組みません。何のためにやるのか、目標が見えないからです。ご本人が心の奥にある生きがいに向けて、目標を持つことが大事なのです」と阿部さんは語る。

 高齢のリハビリ利用者に“人生でやりたいこと”を深掘りすると、ほとんどの人が挙げるのが旅行。墓参りという人も多いが、やはりダントツ人気は温泉旅行だという。

「参加者自らが考え選択した具体的な計画をリハビリの目標として掲げ、そのためのリハビリと旅行を実践する“リハビリ旅行”を行っています。まず目的地への交通手段、駅の階段の高さや段数、手すり、旅館内の動線など、現地の環境を詳細に調査します。

 そして本人がどうしたいか。“階段を自力で上りたい”、“移動は車いすでも露天風呂は自分の足で入りたい”など細かく聞き、本人が思い描く旅行に必要な身体機能と、現在の能力とのギャップを埋めるリハビリ計画を立てる。

 するとそれまでやる気を見せなかった人も俄然、生き生きとがんばり始めるのです。たとえば、りんご狩りをするために、立つ、腕を上げる、バランスを取るなど、旅行の場面場面を実現するようなリハビリをするわけです」

 無理のない目標設定の工夫や話し合いをしながら、リハビリのプログラムを組み立てる。温泉旅行のためのリハビリなら約3か月。つまり、3か月前からリハビリ旅行プログラムは始まっていて、実際の旅行はその成果の“お披露目の場”という意味合いもある。

「旅行先の駅の階段を上るのも、夢に見た美しい景観の中を歩くのも、温泉露天風呂に入るのもすべてリハビリであり、その日までがんばった成果。もう感動の嵐です。以前、私が同行したリハビリ旅行では、ある参加者が行く先々で“できた”“これもできた”と小さな声でつぶやくのを聞き、胸がいっぱいになりましたね。まさに達成の喜びなのです」

 この後にも重要なプログラムがある。年1回行われる「リハビリ旅行友の会」だ。

関連記事

トピックス

大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【ハワイ別荘・泥沼訴訟に新展開】「大谷翔平があんたを訴えるぞ!と脅しを…」原告女性が「代理人・バレロ氏の横暴」を主張、「真美子さんと愛娘の存在」で変化か
NEWSポストセブン
小林夢果、川崎春花、阿部未悠
トリプルボギー不倫騒動のシード権争いに明暗 シーズン終盤で阿部未悠のみが圏内、川崎春花と小林夢果に残された希望は“一発逆転優勝”
週刊ポスト
「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の公判が神戸地裁で開かれた(右・時事通信)
「弟の死体で引きつけて…」祖母・母・弟をクロスボウで撃ち殺した野津英滉被告(28)、母親の遺体をリビングに引きずった「残忍すぎる理由」【公判詳報】
NEWSポストセブン
焼酎とウイスキーはロックかストレートのみで飲むスタイル
《松本の不動産王として悠々自適》「銃弾5発を浴びて生還」テコンドー協会“最強のボス”金原昇氏が語る壮絶半生と知られざる教育者の素顔
NEWSポストセブン
沖縄県那覇市の「未成年バー」で
《震える手に泳ぐ視線…未成年衝撃画像》ゾンビタバコ、大麻、コカインが蔓延する「未成年バー」の実態とは 少年は「あれはヤバい。吸ったら終わり」と証言
NEWSポストセブン
米ルイジアナ州で12歳の少年がワニに襲われ死亡した事件が起きた(Facebook /ワニの写真はサンプルです)
《米・12歳少年がワニに襲われ死亡》発見時に「ワニが少年を隠そうとしていた」…背景には4児ママによる“悪辣な虐待”「生後3か月に暴行して脳に損傷」「新生児からコカイン反応」
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《黒縁メガネで笑顔を浮かべ…“ラブホ通い詰め動画”が存在》前橋市長の「釈明会見」に止まぬ困惑と批判の声、市関係者は「動画を見た人は彼女の説明に違和感を持っている」
NEWSポストセブン
バイプレーヤーとして存在感を増している俳優・黒田大輔さん
《⼥⼦レスラー役の⼥優さんを泣かせてしまった…》バイプレーヤー・黒田大輔に出演依頼が絶えない理由、明かした俳優人生で「一番悩んだ役」
NEWSポストセブン
国民スポーツ大会の総合閉会式に出席された佳子さま(10月8日撮影、共同通信社)
《“クッキリ服”に心配の声》佳子さまの“際立ちファッション”をモード誌スタイリストが解説「由緒あるブランドをフレッシュに着こなして」
NEWSポストセブン
“1日で100人と関係を持つ”動画で物議を醸したイギリス出身の女性インフルエンサー、リリー・フィリップス(インスタグラムより)
《“1日で100人と関係を持つ”で物議》イギリス・金髪ロングの美人インフルエンサー(24)を襲った危険なトラブル 父親は「育て方を間違えたんじゃ…」と後悔
NEWSポストセブン
自宅への家宅捜索が報じられた米倉(時事通信)
米倉涼子“ガサ入れ報道”の背景に「麻薬取締部の長く続く捜査」 社会部記者は「米倉さんはマトリからの調べに誠実に対応している」