ビジネス

「Go Toトラベル」「Go Toイート」中小事業者が期待しない理由

政府の観光支援事業「GoTo トラベル」キャンペーンを知らせる金券ショップの広告(時事通信フォト)

政府の観光支援事業「Go Toトラベル」キャンペーンを知らせる金券ショップの広告(時事通信フォト)

 景気を活性化するとはどういうことか。単に株式市場が活況になればよいのか。円が強ければそれでよいのか。いや、やはり市井の人たちの暮らしぶりが上向くことがもっとも重要だろう。そのために「Go Toトラベル」や「Go Toイート」が実施されるかと期待したい。ところが、実際にはそうはいっていないようだ。ライターの森鷹久氏が、高級旅館と高級店にばかり利用者の興味が集中していると嘆く宿泊施設の声をリポートする。

 * * *
 制度がわかりにくい、東京が除外される……など波乱続きだった「Go Toトラベルキャンペーン」も、蓋を開けてみれば、利用者にとっても、ホテルや旅館など宿泊業者にとっても概ね好評の様子。かくいう筆者も、実はこのキャンペーンをすでに利用し、サーフトリップを楽しんだ一人。といっても、宿泊した関東某県のホテルの担当者に聞いてもキャンペーンの手続きなどがよくわかっていない様子で、恩恵を受けられるのか不安だったが、領収書などを用意しておけば、事後申請でキャッシュバックを受けられることがのちに判明した。

 不安を感じながら利用したのは一泊1万5000円程度の、ごく普通のホテルだったので割引額35%で5000円強が戻ってくるという。旅先の飲食店、土産店などで利用できるクーポン15%分も受け取ることができる、らしいのだが現時点で実施は9月めどということで、よくわからない。そもそも、キャッシュバック云々よりもまずは旅行がしたかったので、そのあたりは気にしなかった。

 それでも「お得感」を感じたのだが、筆者が宿泊したごく普通のホテルは、海の近くという絶好のロケーションにもかかわらず、客はまばらだった。ホテル支配人に聞くと、次のように教えてくれた。

「東京の方が、キャンペーンの除外ということになり一斉にキャンセルされました。また、キャンペーンを使うのなら、より割引額が大きくなる方がいいということで、より高額な宿泊施設に人気が集まっています」(ホテル支配人)

 Go Toトラベルキャンペーンでは、割引額の上限は一泊あたり1万4000円となっている。つまり、一泊4万円程度の宿泊施設を利用した場合に、割引額を最大に活用できる、ということになる。どのくらいを高級と受け取るかは人によるだろうが、一泊4万円の宿泊施設は十分に高級な部類に入るだろう。

「当ホテルはリーズナブルですから、いつでも来られるとか、わざわざ割引制度を使ってまで利用はしない、そう思われているのだろうと思います。近くの老舗旅館や高級リゾートホテルは、キャンペーンの利用客で賑わっているようで」(ホテル支配人)

あわせて読みたい

関連記事

トピックス

米倉涼子の“バタバタ”が年を越しそうだ
《米倉涼子の自宅マンションにメディア集結の“真相”》恋人ダンサーの教室には「取材お断り」の張り紙が…捜査関係者は「年が明けてもバタバタ」との見立て
NEWSポストセブン
地雷系メイクの小原容疑者(店舗ホームページより。現在は削除済み)
「家もなく待機所で寝泊まり」「かけ持ちで朝から晩まで…」赤ちゃんの遺体を冷蔵庫に遺棄、“地雷系メイクの嬢”だった小原麗容疑者の素顔
NEWSポストセブン
渡邊渚さん
(撮影/松田忠雄)
「スカートが短いから痴漢してOKなんておかしい」 渡邊渚さんが「加害者が守られがちな痴漢事件」について思うこと
NEWSポストセブン
平沼翔太外野手、森咲智美(時事通信フォト/Instagramより)
《プロ野球選手の夫が突然在阪球団に移籍》沈黙する妻で元グラドル・森咲智美の意外な反応「そんなに急に…」
NEWSポストセブン
死体遺棄・損壊の容疑がかかっている小原麗容疑者(店舗ホームページより。現在は削除済み)
「人形かと思ったら赤ちゃんだった」地雷系メイクの“嬢” 小原麗容疑者が乳児遺体を切断し冷凍庫へ…6か月以上も犯行がバレなかったわけ 《錦糸町・乳児遺棄事件》
NEWSポストセブン
11月27日、映画『ペリリュー 楽園のゲルニカ』を鑑賞した愛子さま(時事通信フォト)
愛子さま「公務で使った年季が入ったバッグ」は雅子さまの“おさがり”か これまでも母娘でアクセサリーや小物を共有
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)は被害者夫の高羽悟さんに思いを寄せていたとみられる(左:共同通信)
【名古屋主婦殺害】被害者の夫は「安福容疑者の親友」に想いを寄せていた…親友が語った胸中「どうしてこんなことになったのって」
NEWSポストセブン
高市早苗・首相はどんな“野望”を抱き、何をやろうとしているのか(時事通信フォト)
《高市首相は2026年に何をやるつもりなのか?》「スパイ防止法」「国旗毀損罪」「日本版CIA創設法案」…予想されるタカ派法案の提出、狙うは保守勢力による政権基盤強化か
週刊ポスト
62歳の誕生日を迎えられた皇后雅子さま(2025年12月3日、写真/宮内庁提供)
《累計閲覧数は12億回超え》国民の注目の的となっている宮内庁インスタグラム 「いいね」ランキング上位には天皇ご一家の「タケノコ掘り」「海水浴」 
女性セブン
米女優のミラーナ・ヴァイントルーブ(38)
《倫理性を問う声》「額が高いほど色気が増します」LA大規模山火事への50万ドル寄付を集めた米・女優(38)、“セクシー写真”と引き換えに…手法に賛否集まる
NEWSポストセブン
ネックレスを着けた大谷がハワイの不動産関係者の投稿に(共同通信)
《ハワイでネックレスを合わせて》大谷翔平の“垢抜け”は「真美子さんとの出会い」以降に…オフシーズンに目撃された「さりげないオシャレ」
NEWSポストセブン
中居正広氏の近況は(時事通信フォト)
《再スタート準備》中居正広氏が進める「違約金返済」、今も売却せず所有し続ける「亡き父にプレゼントしたマンション」…長兄は直撃に言葉少な
NEWSポストセブン