さらに10月8日からは、ドラマ『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(テレビ東京系)がスタートする。累計80万部を突破した人気BL漫画(作・豊田悠)が原作で、モデルで俳優の赤楚衛二と、劇団EXILEの町田啓太がサラリーマン同士のピュアな恋模様を演じる。ポップなテイストのラブコメであるぶん、これまでBL作品に触れたことのない視聴者にも受け入られやすい作品と言えるかもしれない。
なぜ実写BLがこれだけ増えたのか? やはり2018年に放送された『おっさんずラブ』(テレビ朝日)の大ヒットは無視できない。あれだけ大勢の視聴者が男性同士の恋愛模様に夢中になったという事実は、業界関係者にとっても発見だったのではないだろうか。こちらの作品はオリジナル脚本によるものだが、テレビ業界、映画業界がBLというジャンル自体に目を向けるきっかけを作ったように感じる。
2019年に放送された、『きのう何食べた?』(テレビ東京)も深夜ドラマとしては異例のヒットを記録した。『おっさんずラブ』、『ポルノグラファー』、『きのう何食べた?』と良い流れが生まれ、いずれは「BL漫画の実写化が増えてきた」どころか「BL漫画の実写化がブーム」と言える状況が来そうだ。
ところで、『きのう何食べた?』と同じよしながふみ原作のドラマ『アンティーク ~西洋骨董洋菓子店~』(フジテレビ)が2001年に放送されたときのことを思い出したい。もともと原作漫画からして男性同士の恋愛が主題の作品ではないとはいえ、ドラマ版では登場人物のゲイという設定がほとんど消えていた。
当時から比べると、男女のラブストーリーと同じように、男性同士のラブストーリーにもときめくことができる人が増えた現在は、「良い時代になった」としみじみ感じさせられる。