日本最初の流通貨幣、和同開珎よりも以前から金貸しは存在していた(時事通信フォト)
怪しい業者はなんと、中田さんの勤務する飲食店に「この店には詐欺師がいる」とか「泥棒がいる」という嫌がらせの電話を1日に何十件とかけてきていたのである。事態はそれだけにとどまらなかった。
「免許証の私の写真に、わいせつな文言がつけられた手紙が店に送りつけられたり、ツイッター上に『女詐欺師』として私の免許証、住所、勤務先や電話番号が晒されていたのです」(中田さん)
上司の勧めもありすぐに警察に駆け込み、被害届も出したものの、犯人につながる情報もなければ、今もなお中田さんの情報は、SNS上に出回ったまま。犯行が止まるのならと、藁にもすがる思いでもう5万円を先方の口座に振り込もうともしたが、すでに口座は使われておらず、やり取りをしていたSNSアカウントも消え、連絡を取る手段が一切なくなってしまった。飲食店の客にまで噂が広まり、中田さんは退職を余儀なくされたのである。
中国や韓国でもSNSを使った違法な融資が行われており、融資の際には免許証などの写真だけでなく、裸の写真や映像を要求される場合もある。まさに「リベンジポルノ」の様相だ。リベンジポルノという呼び方をきくと、元交際相手などによる復讐がすぐに思い浮かぶだろうが、恋愛感情のもつれではなく債務者への見せしめのためにポルノグラフィを利用しているのがこのリベンジ(復讐)の特徴で、被害者に男女の差がないのも恐ろしいところだ。返済が行われなかった場合、それらがネットにばら撒かれる、という脅しや「担保」というわけだが、返済が滞ったりすれば本当にばら撒かれてしまう。
こうした犯罪は日本でも起きていて、特にSNS上でのその被害が続出。かつて晒されたのは個人情報だけだったのが、最近では男女を問わず裸の写真や映像などが晒され、被害者が泣き寝入りせざるを得ない事態になっている。
「貸した金を返さなかったとして、若い女性の免許証と裸の写真や中年男の半裸姿と免許証の写真などを、SNS上にアップしているユーザーが複数います。名誉毀損どころではなく、とんでもない人権侵害なのですが、そのユーザーは悪質な犯罪組織の一員で、特殊なソフトを使ってSNSにアクセスしているため、足取りを追いづらい。
警視庁関係者がこう話すように、個人情報を晒された被害者は実際には泣き寝入りせざるをえず、掲載をやめて欲しければさらに現金を振り込めなどと脅迫されるパターンもあるという。