──え、俺、そんなの感じてなかったぞ!?
親からの期待もすごいし、学校も当然のように東大を前提にしてくるし。高校生になるともう「東大のどこを受ける?」という空気。理Iなのか理IIなのか理IIIなのか、その三択しかないみたいな。麻布=東大。変なやつはときどき京大受けますね。たまに早慶にも行くかな、くらい。しかも高3ではなぜか理IIIクラスに入れられちゃって、僕以外全員医学部志望でつらかった。意外と多様性がないんですよ、麻布って。
──そこは鋭い突っ込みで。麻布は多様性とかいいながら、「でも結局東大じゃん」という部分はたしかにある。出口の多様性は意外と少ないという。
だから僕はできたばかりのSFCを選ぶんです。反逆ですよ。クラス全体が「何浪してでも東大行くぞ!」みたいな空気感のなか、「いや、自分は自分で好きなことをやりたいんで」と。ふらっと覗いてみた大学フェアでSFCのことを知り、これからはインターネットだと直感して、僕はこっちだと。当時珍しかったAO入試を見つけて、受けることにしたんです。
高校では結構勉強したんだけどそれでもギリギリ100番に入れるか入れないかくらいの成績でした。改めて優秀なやつが多いよなと気づくわけです。特に受験モードになったときのスイッチの入り方がすごい。あんなに悪いことしかしていなかったやつらが急に受験モードになって成績上げてくる。
そこで僕は人生での戦い方を考えるんですよ。彼らと同じ土俵で同じ戦い方をしても勝てない可能性が高いので、違う角度から人生を戦えないかと。
麻布の連中の多くは、東大に入ったあとも、官僚になるチーム、医者になるチーム、弁護士になるチーム、大企業に勤めるチームと、優秀なやつらで塊になってさらにハイレベルな戦いをしていくわけでしょ。そのヒエラルキーの外に出ない限り勝ち目がない。
そこで新しい武器は何かと考えたとき、インターネットという言葉と出会って、魅了されて、この新しい武器で斜め横から戦うのは戦略としてありだなと思ったわけです。そういう意味では僕は麻布で、すごく広い意味での競争意識を育てられたと思います。
──現在の千葉さんを構成する要素として、麻布とSFCの比率はどれくらいですか?
半々くらいかな。