最近、“性教育”が静かなムーブメントになりつつある。家庭向けで手に取りやすいコミック仕立ての啓蒙書が刊行されたり、地上波テレビでの“生理”バラエティ番組が放送されたりするなど、一般の目に触れる機会が多くなっているのだ。女性芸能人らによる積極的な発信も相次いでいる。背景には何があるのか。
今年3月、KADOKAWAから『おうち性教育はじめます』(著者:フクチマミ、村瀬幸浩)というコミックエッセイが出版された。タイトルの通り、“性”に関わることを子どもにどう伝えたらいいかを指南する1冊だ。
「子ども」の年齢は、3~10歳を想定しているらしいが、「一緒にお風呂はいつまで?」「うんち、おしっこ、ちんちんなどの言葉を連呼したときは?」といった話題から、生理、マスターベーション、セックスといった部分にも踏み込んでいるのが印象的だ。
『おうち性教育はじめます』は発売から半年以上が経った現在も、各書籍通販サイトで上位にランクインし続けている。口コミで話題になっているだけに、今後も部数を伸ばしていくことだろう。
また、テレビ東京では8月末、バービー、黒沢かずこ(森三中)、りゅうちぇる、ゆきぽよといった人気タレントを集め、“生理”をテーマにした特番『生理キャンプ2020』が放送された。地上波で性教育を扱う企画が行われること自体は初めてではないが、同番組は、オシャレなスタジオの中で、タレントたちが明るく実体験を語り合う姿が新鮮だ。
番組本編の映像は、テレビ東京の公式You Tubeチャンネルでも公開されている。コメント欄には、「保健体育の授業よりもためになる」「男性にも観てほしい内容」といった番組への称賛の声が続出。さらに、視聴者同士で生理をめぐる意見交換も行われており、1600件以上のコメントが寄せられている。
フィクションの世界でも“性教育”的な作品が目に付く。配信中のABEMAオリジナルドラマ『17.3 about a sex』がそれだ。「17歳の女子高生3人が恋にセックスに揺れ動くリアルな心情を描く、ひと夏の青春恋愛物語」というあらすじだけ聞くと、よくあるラブコメディを想像してしまうかもしれない。しかし、本作では、青春ストーリーの中に、初体験や避妊、生理、体型の悩みやセクシュアリティといったテーマを織り込んでいる。ちなみにタイトルの「17.3」とは、初体験の世界平均年齢を意味する数字だ。