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2020.11.02 16:00  週刊ポスト

緑内障治療の選択肢が広がる低侵襲の「眼内ドレーン挿入術」

緑内障治療の新しい手術にはどんな利点が?(イラスト/いかわ やすとし)

緑内障治療の新しい手術にはどんな利点が?(イラスト/いかわ やすとし)

 早期から中期の緑内障で、白内障も併発の患者に対し、新しい手術が実施されようとしている。それがアイステント・インジェクトを用いた眼内ドレーン挿入術だ。眼内の組織に0.5mmに満たない小さなチタニウム製のステントを2つ挿入し、目の中の房水を排出して眼圧を下げる。眼圧下降効果は高くはないが低侵襲で安全性が高い。白内障の手術と同時に行なうことで、保険診療の対象となる。

 緑内障では眼圧という目の内圧を下げる治療を行なう。1種から複数の点眼薬やレーザーによる治療を行なうが、効果が不十分な場合には手術を実施する。緑内障手術には濾過手術と流出路再建術があり、眼圧は房水の産生と流出のバランスで決まる。濾過手術は新たな流出路(バイパス)を作って房水を強制的に眼外へ濾過させる手術だが、眼圧下降効果が高い反面、重篤な合併症を生じるリスクもある。

 一方、流出路再建術は、もともとの流出路の流れをよくする手術だ。眼圧下降効果は濾過手術に比べ劣るものの、安全性は高い。注目の医療材料のアイステント・インジェクトを用いた眼内ドレーン挿入術は流出路再建術の一つで、小さなステントを房水の流出路に埋入する。

 東京医科大学病院眼科の丸山勝彦准教授に話を聞いた。

「眼内ドレーン挿入術で使用のステントは、日本では2016年に承認された第1世代のものですが、ようやく2019年改良型のアイステント・インジェクトが医療材料として承認されました。これはチタニウム製の長さ0.5mm弱の管で、中央に0.08mmの孔が開いており、これを房水の流出路に2つ埋入すると中央の孔から流出し、眼圧が下降する仕組みとなっています」

 実際の手術では点眼薬で麻酔した後、黒目(角膜)の隅を2mm程度切開、そこから房水の流出路にアイステント・インジェクトを2つ埋入する。ステントは返しが付いている構造のため、一度埋入すると抜けにくい。傷口が小さいので縫合の必要はなく、手術時間も約10分と短いので、患者への負担も少ない。ただし、眼圧下降効果は点眼薬1本分程度でしかないので、早期から中期の緑内障患者が対象だ。

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