鳥谷はいち早く動いて移籍に成功。「バースの再来」ボーアは苦しいシーズンオフ
阪神ではそのほか、球団最多の8人体制を敷いた外国人選手の大量解雇も規制路線とみられている。ここでも球団の苦しい経営が影響しそうだ。
「年俸に見合った活躍ができたのは、藤川の代わりにクローザーになったスアレスくらい。先発のガルシアや中継ぎのガンケルは外国人選手が多すぎて起用機会が少なかったし、バースの再来と期待されたボーアは2億7000万円という推定年俸からすると微妙な成績。韓国で打点王の実績のあるサンズは高い得点圏打率で貢献したから残留の可能性が高いが、抑えとして阪神6人目のセーブ王が確実のスアレスと一時は得点圏打率4割超えでチームを引っ張ったサンズ以外はクビでしょう。来季は今年と打って変わって少数精鋭で臨むとみられています」(スポーツジャーナリスト)
阪神では、2002年のシーズンオフに、就任1年目だった星野仙一・監督が「世代交代」を掲げて24人もの選手を引退やトレードで放出し、金本知憲、伊良部秀輝、下柳剛らを獲得した例もある。人気球団だけに、「しばらく育成期間」といった長い目で見たチーム編成は許されないのが選手にもつらいところだ。“松井キラー”として活躍し、このときリストラの対象になって現役引退を決意した遠山昭治氏(当時の登録名は奨志)は、阪神ゆえの苦労をこう語る。
「自分が肩を叩かれるだろうというのは夏頃にはわかっていました。それまでの3年間、ずっと50試合以上登板してきた影響で腰を傷め、星野阪神では満足な投球ができませんでしたからね。それに、メディアに書かれて知ることも多い。阪神や巨人は特にそうですね。私は肉体的にも厳しかったので家族とも相談して引退を受け入れましたが、今は年俸も高くなっているから、少しでも長くやるために移籍先を自分で探す選手も多いでしょう」
とはいえ、今年はどの球団も収入激減で補強よりリストラが優先されそうだ。選手たちには厳しい冬が近づいている。『週刊ポスト』(11月6日発売号)では、球界を吹き荒れるリストラと大減俸の嵐を特集している。