ライフ

壇蜜 髑髏の額装を目にして「解剖学を学んだ者として感動」

日本郵便株式会社と容共大学総合研究博物館の協働施設。左は西野館長(空間・展示デザイン(C)UMUT works)

日本郵便株式会社と容共大学総合研究博物館の協働施設。左は西野館長(空間・展示デザイン(C)UMUT works)

 美術史家で明治学院大学教授の山下裕二氏とタレントの壇蜜という、日本美術応援団の2人が、日本の美術館の常設展を巡るこのシリーズ。2人は今回「JPタワー学術文化総合ミュージアムインターメディアテク」を訪れた。

山下:インターメディアテクは昭和モダニズムを代表する旧東京中央郵便局舎を改装したレトロな空間に常設されたミュージアムで、東京大学が明治10年の開学から蓄積してきた多様な学術標本を展示しています。

壇蜜:昭和初期の東大の教室を再現している「アカデミア」では、机の脚に「大學」と刻まれていますね。

山下:僕もこの階段教室で入試に臨み、学生時代は講義を受けたものです。館長の西野嘉章さんも文学部で美術史を学んだ先輩です。

西野:教室の雰囲気は懐かしいですね。ただ実をいうとこの机も椅子も元はゴミだったんです。大学では備品でも学術資料でも過去の遺物は役立たずとみなされて、どんどん捨てられてしまう。当館はリデザインやリサイクルをコンセプトに行き場を失った遺産を学内外から広く収集し、命を吹き込んでいます。結果的に貴重な資料が揃いました。

壇蜜:視点を変えれば廃棄物は宝の山だったのですね。

山下:アカデミアは医学部使用の座席を再利用したそうですが、館内には医学部解剖学教室初代教授の肖像画もありますね。髑髏をあしらった額装がまた面白い。

壇蜜:髑髏は頭蓋骨に見られる縫合線まで忠実に再現されていて、見事な装飾です。解剖学を学んだ者として感動してしまいました。

西野:額の作者は不明ですが、ウイーン万博などに参加した時期の国内工芸作品なので第1級の職人であることは間違いありません。

【プロフィール】
山下裕二(やました・ゆうじ)/1958年生まれ。明治学院大学教授。美術史家。『日本美術全集』(全20巻、小学館刊)監修を務める、日本美術応援団長。

壇蜜(だん・みつ)/1980年生まれ。タレント。執筆、芝居、バラエティほか幅広く活躍。近著に『結婚してみることにした。壇蜜ダイアリー2』(文藝春秋刊)。

◆撮影/太田真三 取材・文/渡部美也 衣裳/HUNDRED COLOR

※週刊ポスト2020年11月20日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

イベント出演辞退を連発している米倉涼子。
《長引く捜査》「ネットドラマでさえ扱いに困る」“マトリガサ入れ報道”米倉涼子はこの先どうなる? 元東京地検公安部長が指摘する「宙ぶらりんがずっと続く可能性」
マンションの周囲や敷地内にスマホを見ながら立っている女性が増えた(写真提供/イメージマート)
《高級タワマンがパパ活の現場に》元住民が嘆きの告発 周辺や敷地内に露出多めの女性が増え、スマホを片手に…居住者用ラウンジでデート、共用スペースでどんちゃん騒ぎも
NEWSポストセブン
アドヴァ・ラヴィ容疑者(Instagramより)
「性的被害を告発するとの脅しも…」アメリカ美女モデル(27)がマッチングアプリで高齢男性に“ロマンス”装い窃盗、高級住宅街で10件超の被害【LA保安局が異例の投稿】
NEWSポストセブン
デビュー25周年を迎えた後藤真希
デビュー25周年の後藤真希 「なんだか“作ったもの”に感じてしまった」とモー娘。時代の葛藤明かす きゃんちゅー、AKBとのコラボで感じた“意識の変化”も
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(時事通信フォト・目撃者提供)
《ラブホ通い詰め問題でも続投》キリッとした目元と蠱惑的な口元…卒アル写真で見えた小川晶市長の“平成の女子高生”時代、同級生が明かす「市長のルーツ」も
NEWSポストセブン
亡くなった辻上里菜さん(写真/里菜さんの母親提供)
《22歳シングルマザー「ゴルフクラブ殴打殺人事件」に新証言》裁判で認められた被告の「女性と別の男の2人の脅されていた」の主張に、当事者である“別の男”が反論 「彼女が殺されたことも知らなかった」と手紙に綴る
NEWSポストセブン
ものづくりの現場がやっぱり好きだと菊川怜は言う
《15年ぶりに映画出演》菊川怜インタビュー 三児の子育てを中心とした生活の中、肉体的にハードでも「これまでのイメージを覆すような役にも挑戦していきたい」と意気込み
週刊ポスト
韓国の人気女性ライバー(24)が50代男性のファンから殺害される事件が起きた(Instagramより)
「車に強引に引きずり込んで…」「遺体には多数のアザと首を絞められた痕」韓国・人気女性ライバー(24)殺害、50代男性“VIPファン”による配信30分後の凶行
NEWSポストセブン
田久保市長の”卒業勘違い発言”を覆した「記録」についての証言が得られた(右:本人SNSより)
【新証言】学歴詐称疑惑の田久保市長、大学取得単位は「卒業要件の半分以下」だった 百条委関係者も「“勘違い”できるような数字ではない」と複数証言
NEWSポストセブン
本拠地で大活躍を見せた大谷翔平と、妻の真美子さん
《真美子さんと娘が待つスイートルームに直行》大谷翔平が試合後に見せた満面の笑み、アップ中も「スタンドに笑顔で手を振って…」本拠地で見られる“家族の絆”
NEWSポストセブン
バラエティ番組「ぽかぽか」に出演した益若つばさ(写真は2013年)
「こんな顔だった?」益若つばさ(40)が“人生最大のイメチェン”でネット騒然…元夫・梅しゃんが明かしていた息子との絶妙な距離感
NEWSポストセブン
ヴィクトリア皇太子と夫のダニエル王子を招かれた天皇皇后両陛下(2025年10月14日、時事通信フォト)
「同じシルバーのお召し物が素敵」皇后雅子さま、夕食会ファッションは“クール”で洗練されたセットアップコーデ
NEWSポストセブン