サイレント内定取り消しも横行
雇用の危機にさらされているのは現役の社員ばかりではない。来春卒業する大学生の内定取り消しが相次いでいる。
厚労省のまとめでは9月末現在の「内定取り消し」者は201人に上った卸売り、小売りが最多となっている。200人を超えるのは東日本大震災が直撃した2011年以来9年ぶりだ。201人のうち102人は新たな就職先を確保したという。
卑劣な動きも報じられている。IT企業に内定した男性(22)のもとには、4月の緊急事態宣言直後に会社から「辞退をご希望される方はご連絡ください」というLINE通知が届いたという。入社辞退を促すかのような文面だ。“サイレント内定取り消し”と言われている。企業側が取り消さなければ、ハローワークへの通知義務がないため、統計から漏れる。つまり、水面下での内定取り消しが相当数あるかもしれないということだ。
まさに日本国中が「雇用崩壊」寸前といった事態となっている。完全失業者数は210万人(9月の労働力調査)だが、統計にカウントされないその数倍の隠れ失業者がいるとの指摘もある。
ネット上にも不安の声、悲痛な叫びがあふれかえっている。
〈一部の自動車以外は軒並み大赤字。希望退職は大恐慌の入り口に立っただけ。年明けから地獄の時代が始まる〉
〈正直な話、年末に派遣村ができる可能性が出てきた。GO TOよりも手厚い支援が必要〉
〈年末に向かって解雇、破産、自殺が増えると思います〉
〈先月で仕事がなくなりました。夏から仕事を探していますが採用に至りません〉
〈来月から品質管理の仕事に内定していたが、就業の返答をした翌日に会社都合による内定取り消しをされた〉
〈20年勤めた会社から解雇されました。会社は倒産、収入は失業保険だけ。若干の貯蓄を食いつぶしながら生きています〉
休業などで窮地に追いやられた会社や人々にとっての命綱である雇用調整助成金(1日上限1万5000円)の特例措置は、9月30日から12月31日まで延長された。政府はその後の延長も明らかにしている。これまでの支給実績(11月8日時点)は182万7564件の申請に対し、支給決定件数は174万628件。コロナ禍の長期化・拡大傾向にどこまで対応しきれるだろうか。