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2020.11.12 07:00  週刊ポスト

「阪急と阪神」の鉄道事業 棲み分けできているが改善余地も

阪急と阪神は今後の課題をどうクリアしていくか

阪急と阪神は今後の課題をどうクリアしていくか

「阪急と阪神」2社が手を組むという関西財界に衝撃を与える経営統合から14年の月日が流れた。だが、阪急阪神HD(ホールディングス)の鉄道事業を見ていくと、長年続く“相克”や課題が見えてくる。

 1899年創業の阪神電鉄と、1907年に創業した阪急電鉄は、大阪・梅田~神戸・三宮間を並行して走る最大のライバル路線だった(別掲図参照)。

「ただ、大阪~神戸間を走る阪神の線路は50kmなのに対し、大阪と神戸、宝塚、京都を結ぶ阪急は150km。売り上げも阪急が圧倒的だ」(地元紙記者)

 何より、沿線のカラーが全く違う。山側の「高級住宅地」を走る阪急に対し、阪神は海側の埋め立て地を縫うように走る。

「同じ尼崎市にある駅でも、阪急は『武庫之荘』や阪急『塚口』といった高級住宅地やけど、阪神は競艇場のある『尼崎センタープール前』やで。雰囲気も乗ってくるお客さんも全然違いますわ」(神戸在住50代会社員)

 阪神タイガースの名物オーナーで、阪神電鉄社長を長く務めた故・久万俊二郎氏や阪神の人気選手たちも「みんな阪急『御影』『芦屋川』などの山側に住んでいた」(在阪スポーツ紙記者)という。

 関西の私鉄事情に詳しい大阪学院大学の中山嘉彦教授(鉄道技術史)の話。

「当初から高速走行を目指して直線の線路が多く、1編成あたりの車両を増やしてきた阪急と、列車を頻発させて“待たずに乗れる阪神電車”のフレーズを打ち出した阪神は方向性が全く違う」

 マルーン色に統一された阪急電車は「大阪梅田」から「神戸三宮」までの間の駅が14。一方、赤胴車と呼ばれたクリーム色と朱色のツートンや“巨人カラー”のオレンジとグレーのツートンなど様々な車体の阪神電車は、同区間で30駅。

「阪神は駅と駅の間がホンマに近い。『西宮東口』(2001年に廃止)があった時なんて、電車の先頭が次の『西宮』に着いた時、最後尾はまだ西宮東口の駅のホームにおるといわれたくらいやった」(関西在住70代男性)

 その2社が統合し、定期券や回数券を共有化するなど“融和”に努めてきた。『関西人はなぜ阪急を別格だと思うのか』(交通新聞社)の著者で鉄道ライターの伊原薫氏はこういう。

「阪急電車でタイガースの車内広告を目にしたり、阪神電車で宝塚歌劇の車内広告を見るようになったことは衝撃でした。

 海側を走る阪神と山側を走る阪急の間にJR神戸線があるため、近年は“客の奪い合い”はなかった。企業カラー、沿線住民の気質の違いがあるので、統合後もうまく棲み分けている。それだけに、統合しても沿線住民がメリットを感じることは少ないわけですが」

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