芸能

沢村忠デビュー前の「真空飛び膝蹴り」目撃、18歳の高田文夫

沢村忠と高田氏の不思議な縁とは

沢村忠と高田文夫氏の不思議な縁とは

 放送作家、タレント、演芸評論家で立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、1970年頃に日本中を熱狂させた“キックの鬼”こと沢村忠と高田氏の不思議な縁などについてお届けする。

 * * *
 おそろしくパンチの効いた連続KOな本が出たものだ。560ページもあるだけで凄いのに、1ページがすべて2段組み。書き込んでも書き込んでも収まり切らない、他人は知らない濃厚な男の人生がそこにはあった。

 あの時代、男の子達の心をキャッチした最強の男と、その男を作り出した男のドキュメント。『沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修評伝』(細田昌志著・新潮社)である。野口修という途方もない男をとことん調べ、取材し、この1冊の為に10年という時間を費やしたという。“キックボクシング”という言葉を生み出し「キックボクシングを創設。沢村忠と一大ブームを起こし、五木ひろしを世に送り出した伝説の男。その数奇な人生」と帯は謳う。

 いきなりテレビの中で7時から毎週炸裂した“真空飛び膝蹴り”。日本中がびっくりぎょうてん。「つえ~~ッ」日本中の男子はプロレスより相撲より空手より、此の世で一番強いのはキックの鬼、沢村忠だと信じて疑わなかった。しかし実はその裏には……。興行の後ろでうごめく怪しい男達、ヤクザ、そして右翼の大物、政治家。利権がからめば色々なものが動き出す。テレビが動き、新聞マスコミが照らし出す沢村忠の表と裏。

 沢村は俳優になりたくて日大芸術学部へ入った。私が大学1年で江古田キャンパスの中庭を行くと、私より数年先輩の沢村がいつも吊り下げたサンドバッグを蹴りあげていた。バシーンバシーン。私は授業へ出る足を止めていつも沢村先輩のキックを見ていた。「こんなのくらったら一発でオレ死んじゃうな」。昭和42年18歳の私は思っていた。その横をマイク眞木がギターを持って通っていった。呑気な奴だなと思った。バラなんか咲くもんかとも思った。

関連キーワード

関連記事

トピックス

岡田監督
【記事から消えた「お~ん」】阪神・岡田監督が囲み取材再開も、記者の“録音自粛”で「そらそうよ」や関西弁など各紙共通の表現が消滅
NEWSポストセブン
成田きんさんの息子・幸男さん
【きんさん・ぎんさん】成田きんさんの息子・幸男さんは93歳 長寿の秘訣は「洒落っ気、色っ気、食いっ気です」
週刊ポスト
愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
嵐について「必ず5人で集まって話をします」と語った大野智
【独占激白】嵐・大野智、活動休止後初めて取材に応じた!「今年に入ってから何度も会ってますよ。招集をかけるのは翔くんかな」
女性セブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
不倫騒動や事務所からの独立で世間の話題となった広末涼子(時事通信フォト)
《「子供たちのために…」に批判の声》広末涼子、復帰するも立ちはだかる「壁」 ”完全復活”のために今からでも遅くない「記者会見」を開く必要性
NEWSポストセブン
前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン