それから1年もしない内に沢村忠は真空飛び膝蹴りでスーパースターになった。
スポーツの世界で大成功を収めた野口修は次に芸能界へと足を踏み入れ、山口洋子と出会いそしてついにあの五木ひろしを『よこはま・たそがれ』で世に出す。スポーツと芸能のトップに君臨した野口だが……。1週間あれば読めると思うので是非。大人の冒険小説みたいです。
同じ時代、せっせと通いつめていたのが新宿末広亭。丁度その頃“末広亭専属写真術師”として高座を記録していたものが『赤塚盛貴写真集 昭和の寄席の芸人たち』(彩流社)として出た。あの時代だけの音と匂いが。楽屋でノートを見る三平、くつろぐ志ん朝・馬生から、あの時ならではの馬の助、さん助ら。18歳の自分がいた。
■イラスト/佐野文二郎
※週刊ポスト2020年11月27日・12月4日号