バイデン氏は勝利宣言で、国の分断を修復し、すべての国民のための大統領になると述べたが、実態はそうはならない。左派に借りを返さなければならないため、次期政権は「左利き」にならざるを得ないだろう。CNNの報道で明らかになったが、ウォーレン氏の関係する団体は、400人にのぼる「政権入り候補者リスト」を作り、バイデン氏に突き付けているのである。サンダース氏は労働長官ポストを求めているし(表向きは「要請されれば就任する用意がある」という言い方だが)、ウォーレン氏は財務長官狙いと見られている。
バイデン氏は、最重要閣僚の一つである財務長官については、ウォール・ストリートや共和党も受け入れやすい連邦準備制度理事会(FRB)のブレイナード理事を起用したがっているという見方もあるが、ウォーレン氏や左派はそれでは納得しないだろう。400人リストは、明らかにバイデン氏への牽制である。
大手投資銀行の役員で、ウォール・ストリートでもトップクラスの投資実績を誇るM氏は、金融界や産業界はバイデン政権に期待していないと斬り捨てた。
「バイデン政権に多数の社会主義者たちが入り込むことは避けられない。民主党政権が、大企業や富裕層、投資家などに厳しい政策をとることは織り込み済みだが、今回は明らかにこれまでの民主党政権とは違う。クリントンにしろオバマにしろ、民主党がホワイトハウスを獲るためには中間層の支持が必要だったから、比較的穏健な政権だった。今回は、トランプ政権に対抗するために極端な左派が力を持ってしまったため、国の発展より彼らとの密約が優先される。金融業界や化石燃料業界をはじめ、多くの企業が影響を受ける」
その通りなら、バイデン政権で、ますますアメリカの分断は悪化する。トランプ時代の民主党が大きく左に振れたように、今度は共和党がさらに極端な右寄り政策を打ち出して分断を加速させるだろう。「トランプか、トランプではない誰かか」という勝者なき大統領選挙の結果、アメリカは混沌の4年間を過ごすことになるかもしれない。