レンジフードや水回りは専門家に任せるのが◎
では家族は何を手伝うか。
「押し入れ、下駄箱、冷蔵庫、棚や洗面台の引き出しなど、普段閉まっていて目に見えない場所の整理は家族の方がよいでしょう。これらの中身は長い間、日の目を見ていない可能性もあります。不要と思われるものを捨てるか、譲ったり売ったりするか、家族から判断を促されることで思い切れることもあります。ただし処分を無理強いするのはNGです」
物を取っておきたい老親とスパッと捨てたい子供世代が折々対立するのは世の常だ。親が要介護になると、その対立はさらに深刻になる。
「私も母と同居した当初は、物を捨てない母にとてもカリカリしていました。親子それぞれが人生の違うステージにいるので、なかなかわかり合えなかった。でも時を重ねて私も少し大人になり、いまの母にとっては大切な物なのだと気づくと、気持ちよく待てるようになったのです。これこそが伴走介護かな。こういう心の持ち方が、家族がやさしく暮らすコツなのだと知りました」
またハウスクリーニングなど、家事のアウトソーシングも老親を支える場面で強い味方になってくれる。
「大掃除では、エアコン、レンジフード、浴室、トイレは専門家に頼む方がメリット大。洗剤や用具も違うのです。最近は片づけや収納の専門家も活躍していますので、ぜひ活用してください」
ちなみにハウスクリーニング業界では7年ほど前から、受け付けのピークをずらすべく、翌年2月頃までを大掃除シーズンとしている。忙しい年末にバタバタせず、年が明けて落ち着いてからリーズナブルな料金で、というニーズが高まっているという。
【プロフィール】
高橋ゆき/1999年、夫とともに家事代行サービスのベアーズを創業。人気ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)、『極主夫道』(日本テレビ系)の家事監修ほかメディアでも幅広く活躍中。近著に『ズボラさんでも暮らしが整う楽ラク家事』(主婦の友社刊)。
取材・文■斉藤直子
※女性セブン2020年12月10日号