コロナによって、社会のあちこちに「ささくれ」が目立つ(時事)
逆に、「怖がりすぎる人たち」による被害報告も多い。
「実家は九州で飲食店をしているので、“東京の娘は帰ってくるな”と言われています。近所のことは筒抜けになる田舎町ですから、両親の気持ちもわかるのですが、近所の人たちは両親に、『娘さんはいつ帰ってくるのか?』と繰り返し聞いてくるそうです。こちらも家族や近所の人の気持ちを考えて我慢しているのに、意地悪な人たちだなと悲しくなります」(30代会社員女性)
愛煙家である経済評論家の森永卓郎氏は、「タバコ叩き」に閉口して東京に行くことをやめてしまったという。
「コロナで喫煙者は批判を受けています。テレビ局でも、極端なところは喫煙所をすべて閉鎖してしまった。ますます喫煙できる場所がなくなっています。実際には、コロナ感染者の喫煙率が社会全体の喫煙率より低いことは各国で報告されています。つまり、喫煙者はむしろコロナに感染しにくい可能性が高い。しかし、“喫煙はコロナを重症化させる”という科学的な根拠のない話を専門家さえしていて、喫煙者への風当たりは強くなるばかり。その一方で、明らかに良くない電車内でのおしゃべりなどは放置されています。喫煙者を悪者にして安心する、一種の魔女狩りですよ。私はできるだけ東京に行かないことにして、地元の畑で農作業をしています。難しいけど、畑には誰もいないしタバコも吸える。ようやくストレスのない生活を見つけました」
森永氏の言うように、中国や欧米では、喫煙者は感染しにくいという説が真剣に検証され始めているのだが、日本ではオリンピックに向けて政策的に禁煙が奨励されていることもあって、この説は見向きもされていないようだ(もちろん、コロナとは別に喫煙の健康被害や社会的な批判にも目を向ける必要はある)。個人のバイアス、社会のバイアスが「ざんねんな人々」を増殖させているのは悲しいことだ。