では、どのような土地が安全なのだろう。よく知られているように、古くからの地名は参考になる。「沼」とか「池」など「サンズイ」の付く地名は、かつて湿地や水面だった場所が多いから地盤が弱いといったことだ。山本氏はさらに、新しく開発された地域ほど用心すべきだと明かした。
「さきほど申し上げたように、台地と台地の間を埋めて、そこも『〇〇台地』などと名付けているケースもよくあります。昔から人が住んでいる場所は天災を免れてきたところだから比較的安全なのですが、そうした場所はすでに人がたくさん住んでいて開発しにくいですから、新しい街は近年まで誰も住まなかった危険な場所に作られることが多いのです。昨年の台風19号で水害に見舞われた東京の武蔵小杉なども、最近開発されて人気になったエリアですが、地盤カルテでは45点くらいでした。逆に、文明が発達する前から人が住んでいたような場所、遺跡や土器が出るようなところは非常にいいですね」
これについては、『マンション格差』などの著書がある不動産ジャーナリストの榊淳司氏も同様に指摘する。
「武蔵小杉は多摩川沿いの街ですが、浸水のあった地域はかつては工場などが立っており、地元ではもともと沼だったと言われています。住宅地に向いているとは言い難い場所を人気の街として売り出したことが悲劇を生んでしまった。東日本大震災の際には、新浦安と海浜幕張で液状化現象が起きました。これらの地域は不動産価格もじりじり下げてしまいました」
地盤の強さは様々
新しく開発された人気エリアには落とし穴があるということのようだ。人気物件のリスクについては、山本氏はこんな盲点も教える。
「駅近とか駅直結の物件は人気になりますが、実はリスキーなケースが多い。駅は大規模な開発になりますから、立ち退きなどを避けるために、もともと地域で何もなかった場所に置かれることが多く、低い土地に作られます。東京の渋谷駅などはその典型です。
結局、業者の宣伝や人気と安全は一致しないということです。新しいビルやマンションが並ぶきれいな街は疑ってかかるくらいでもいい。逆に空き家が目立つような古い街のなかに安全なところが見つかったりするのです」
地盤に注目して家を選ぶと、怖い話も目からウロコの情報も見えてくる。