国内

草創期からのウーバー配達員、「地蔵」激増とマナー悪化を憂う

「ウーバー地蔵と一緒にされたくない」(イメージ)

「ウーバー地蔵と一緒にされたくない」(イメージ)

 皆で盛りあがるコンサートやライブでじっと動かない人や、ボールが飛んできているのに守備のために動けない野球選手などを揶揄して「地蔵」と呼ぶネットスラングがある。今は地蔵と呼ばれるものの範囲が広がり、フードデリバリー需要が激増した2020年には、人気のファストフード店前などで勝手に待機し続ける「ウーバー地蔵」が出現している。だが、数年前にウーバーイーツが日本に上陸したときは、オシャレな人たちの趣味と実益を兼ねた新しい仕組みとしてとらえられていた。俳人で著作家の日野百草氏が、「同じだと思われたくない」と話す草創期からのウーバーイーツ利用者の嘆きをレポートする。

 * * *
「私も迷惑してるんです。同業者と思われたくありませんから」

 ヨーロッパの有名ロードレースチームのサイクルウェアをばっちり着込んだウーバーイーツの配達員(配達パートナー)の島野さん(仮名・30代)に都心の駐輪場で声を掛けた。地方では少ないが、都心部ではロードレースさながらのコスチュームでフードデリバリーサービスに従事している配達員も少なくない。ヘルメットもしっかり被り、スマートな長身にカラフルなユニフォームがキマっている。もちろん自転車も高級海外ブランドだ。筆者も20代のころはイタリアの自転車ブランドBianchi(ビアンキ)、Battaglin(バッタリン)などのフレームにCampagnolo(カンパニョーロ)のグループセットで草レースに参加していたので同好の士として興味は尽きない。これだけキメていると背中の大きな「Uber Eats」のロゴバッグもかっこよく見えてしまう。

「交通規則もしっかり守りますし、地蔵なんかしません。私としては待ってる間も軽く流していたほうがいい」

 島野さんは筆者のウーバー問題を取り上げた記事『「一生働くとは思ってなかった」と70代のUber配達員は言った』や『「ウーバー地蔵」急増 都心の「子連れウーバー」は大丈夫か』を読んだとのこと。快く思われないかもしれないと不安になったがそれは杞憂で、配達員のトラブルはウーバージャパンにも原因があると同意してくれた。

 ちなみに断っておくが「ウーバー地蔵」なる言葉は筆者が考えたものではなく、Twitterで検索しても2019年11月に「ウーバー地蔵する」、2020年2月にも「ウーバー地蔵してきました」「ウーバー地蔵やってみた」のツイートが散見される通り、以前から一部配達パートナー界隈のスラングとして使われていた。その後のコロナ禍による爆発的な配達員の増加と過当競争により大量の配達員が地蔵化し、嫌でも悪目立ちするようになってしまった。実際Twitterでも緊急事態宣言が発令された4月には「ウーバー地蔵クソ増えてる」「ウーバー地蔵が5人ほどいます」とツイートされ、さらに解除の5月から6月ともなると「ウーバー地蔵が街に多すぎる」「ウーバー地蔵が警察に取り締まられている」「ウーバー地蔵の溜まり場になっててスラム」「ウーバー地蔵10人確認」と、地蔵行為やそれを指す「ウーバー地蔵」なるミームの浸透していく過程がわかる。島野さんもこんな状態になるとは思わなかったという。

「ああいう連中を(ウーバージャパンが)野放しにするから私も同類に思われて困るんです。地蔵だって最近は度が過ぎてます。不景気で競争が激しくなったのか配達員が増えた分、質の悪い連中がのさばってます」

 専業でがっつり稼ごうとする配達員とは違い島野さんは半分趣味、本業はフリーランスのウェブデザイナーで、片手間の副業兼、自転車のトレーニングとのこと。ウーバー・テクノロジーズが推奨する “いつでもどこでもご自身の都合に合わせて稼働することができます。1時間だけでも、週末だけでも”という本来のコンセプトにマッチした働き方だ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

70歳の誕生日を迎えた明石家さんま
《一時は「声が出てない」「聞き取れない」》明石家さんま、70歳の誕生日に3時間特番が放送 “限界説”はどこへ?今なお求められる背景
NEWSポストセブン
イスラエルとイランの紛争には最新兵器も(写真=AP/AFLO)
イスラエルとの紛争で注目されるイランのドローン技術 これまでの軍事の常識が通用しない“ゲームチェンジャー”と言われる航空機タイプの無人機も
週刊ポスト
一家の大黒柱として弟2人を支えてきた横山裕
「3人そろって隠れ家寿司屋に…」SUPER EIGHT・横山裕、取材班が目撃した“兄弟愛” と“一家の大黒柱”エピソード「弟の大学費用も全部出した」
NEWSポストセブン
ノーヘルで自転車を立ち漕ぎする悠仁さま
《立ち漕ぎで疾走》キャンパスで悠仁さまが“ノーヘル自転車運転” 目撃者は「すぐ後ろからSPたちが自転車で追いかける姿が新鮮でした」
週刊ポスト
無期限の活動休止を発表した国分太一
「こんなロケ弁なんて食べられない」『男子ごはん』出演の国分太一、現場スタッフに伝えた“プロ意識”…若手はヒソヒソ声で「今日の太一さんの機嫌はどう?」
NEWSポストセブン
9月に成年式を控える悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《模擬店では「ベビー核テラ」を販売》「悠仁さまを話題作りの道具にしてはいけない!」筑波大の学園祭で巻き起こった“議論”と“ご学友たちの思いやり”
NEWSポストセブン
1993年、第19代クラリオンガールを務めた立河宜子さん
《芸能界を離れて24年ぶりのインタビュー》人気番組『ワンダフル』MCの元タレント立河宜子が明かした現在の仕事、離婚を経て「1日を楽しんで生きていこう」4度の手術を乗り越えた“人生の分岐点”
NEWSポストセブン
元KAT-TUNの亀梨和也との関係でも注目される田中みな実
《亀梨和也との交際の行方は…》田中みな実(38)が美脚パンツスタイルで“高級スーパー爆買い”の昼下がり 「紙袋3袋の食材」は誰と?
NEWSポストセブン
5月6日、ニューメキシコ州で麻薬取締局と地区連邦検事局が数百万錠のフェンタニル錠剤と400万ドルを押収したとボンディ司法長官(右)が発表した(EPA=時事)
《衝撃報道》合成麻薬「フェンタニル」が名古屋を拠点にアメリカに密輸か 日本でも薬物汚染広がる可能性、中毒者の目撃情報も飛び交う
NEWSポストセブン
カトパンこと加藤綾子アナ
《慶應卒イケメン2代目の会社で“陳列を強制”か》加藤綾子アナ『ロピア』社長夫人として2年半ぶりテレビ復帰明けで“思わぬ逆風”
NEWSポストセブン
2人の間にはあるトラブルが起きていた
《2人で滑れて幸せだった》SNS更新続ける浅田真央と2週間沈黙を貫いた村上佳菜子…“断絶”報道も「姉であり親友であり尊敬する人」への想い
NEWSポストセブン
ピンク色のシンプルなTシャツに黒のパンツ、足元はスニーカーというラフな格好
高岡早紀(52)夜の港区で見せた圧巻のすっぴん美肌 衰え知らずの美貌を支える「2時間の鬼トレーニング」とは
NEWSポストセブン