歌舞伎の世界についても語った
息子たちを夜中に寝かしつけていた思い出がよみがえり……
もともと涙もろいという勘九郎だが、今作は脚本を読んだ時点から、ずっと泣き通しだったのだという。
「ザルードが親として成長していく様子に何度読んでもグッときてしまい、ちゃんと現場でアフレコができるのか不安なほどでした。ココが赤ちゃんのシーンでは息子たちを夜中に寝かしつけていた思い出がよみがえってうるっとしましたし、ラストでは親としてのザルードの心の声に涙を流しながら録音していました。
傍から見れば親なのでしょうが、ザルードと同じく、ぼくもまだ子供と一緒に成長しているという感覚が強いです。それでも息子たちが歌舞伎の世界へ入っておかげさまで初舞台を迎え、父から教わったことを彼らへ伝えられたときには“これが父から子へ受け継ぐということなんだ、親になったということなんだな”と実感もしました。子供の時期はあっという間なので家での時間も、彼らが子役として舞台に立つ歌舞伎で共演することも、いましかない親子の瞬間として大切にしていきたいです」
クリスマスは親子揃って劇場へ向かう予定だといい、ようやく“とうちゃん”の姿を見せられると声を弾ませた。
■撮影/江森康之 取材・文/渡部美也
※女性セブン2020年12月24号