ザルードの声を当てた勘九郎
父に似てきた自分の姿を感じつつ、自身の子を見ていて驚くこともあるという。
「うちの子が父と同じ仕草をしていたのには驚きました。父には左のポケットに手を入れて歩く癖があって、それを長男(中村勘太郎)がそっくりそのまましていたんです。教えていないし、見たこともないはずなのにね。劇中ではココが喜んだときにザルードそっくりの仕草をするのですが、家族の絆というのは不思議なものですよねぇ」
そう語り、ザルードのぬいぐるみを愛おしそうに引き寄せた。とうちゃんザルードを演じたことで、いまでは自身の分身のような存在だ。
「ザルードは純粋にかっこいいポケモンなので、配役が決まって”やったぁ!”とうれしかった。うちの子たちはゲッコウガなどかっこいいポケモンが大好きなのでスクリーンで見てきっとときめいてくれるんじゃないかな。でも実際に森で出会ったらどうだろう。ぼくは温厚な方なので、ちょっと乱暴な面があるザルードとはなかなか友達になりづらいかも(笑い)」
ザルードの「見守る姿勢」に気持ちを重ねた
出演が決まり、小学生の息子2人にはすぐに報告をしたという。「すごいじゃん!」と大喜びで、その姿が何よりうれしかったとか。
「詳しい内容は(口元に人差し指をあてて内緒のポーズ)、聞かれても言わなかったです。そこはなんとももどかしかったですね。ぼくがポケモンの声優をすることが発表されて、まわりのお友達がたくさん声をかけてくれたそうで、息子たちがうれしそうにする姿がたまらなかったですね」
わが子の話になると、勘九郎も“とうちゃん”モードで目尻を下げる。
劇中でも、赤ん坊だったココが少年となって自分の夢を模索する姿を見守るザルードに、父としての気持ちを重ねたと振り返る。
「ザルードのようにかっこよく背中を押してやることはできないかもしれませんが、自分ができるサポートは全部してやりたい。長男は2021年、主人公のサトシと同じ10才になるのでポケモンマスターになりたいと言い出したら困っちゃうけれど(笑い)、何につけ、子供たちが自分でやりたいことを見つけることは大事ですし、最大限尊重したいと親としては思います。
長男は最近ダンスに興味を持って、スタジオを探しています。次男(中村長三郎)は絵が好きで習っています。歌舞伎の関連でも稽古事に興味を持てば、どんどんやらせているんです。そうやって親は子供の成長に合わせてさまざまなレールを敷いてくれていたんですよね」