11月14日、その「渋谷らくご」で「創作大賞受賞者の会」が開催され、古今亭駒治(2017年受賞)、三遊亭粋歌(2016年受賞)、立川談吉(2019年受賞)らと共に羽光も出演、自作の『拝啓15の君へ』を演じた。
主人公は羽光自身。母の墓参りで実家を訪れた羽光は自室の押入れで玩具のポストに入っていた「拝啓、未来の僕へ」と書かれた手紙を発見。そこに綴られた思春期の悩みに答える手紙をポストに入れると、15歳の自分に届く。そこから始まる“今の自分”と“15歳の自分”のやり取り。「過去を変えられるかも」と思った“今の自分”は「3年後に母が癌で亡くなる」ことを書いた手紙を“15歳の自分”に送る……。
実家から帰ろうとする自分に父が掛けた意外な言葉によって導かれる、ハートウォーミングな結末。羽光らしい抒情SF落語だ。
【プロフィール】
広瀬和生(ひろせ・かずお)/1960年生まれ。東京大学工学部卒。音楽誌『BURRN!』編集長。1970年代からの落語ファンで、ほぼ毎日ナマの高座に接してきた。2020年1月に最新刊『21世紀落語史』(光文社新書)を出版するなど著書多数。
※週刊ポスト2020年12月25日号