スポーツ

江本孟紀氏「ベンチがアホ」発言の背景に野村克也さんの存在

「頭が切れるノムさんと野球をやっていたから…」と江本孟紀氏は振り返る

「頭が切れるノムさんと野球をやっていたから…」と江本孟紀氏は振り返る

 2020年2月に亡くなった野村克也さんは、選手・監督としてプロ野史に残る偉大な功績を残した。南海時代(1970~1977年)は、34歳の若さで選手兼監督に就任。「4番打者」「捕手」「監督」の3つの重責を担い、1973年にはリーグ優勝を果たしている。当時、同じチームで過ごした野球評論家の江本孟紀氏が、野村さんから受け取った「特別な言葉」を振り返る。

 * * *
 ノムさんは「川上巨人はなぜ強い」「阪急は何が変わった」と相手の研究ばかりしていた。研究したうえで、「いかに自分たちの弱点をカバーするか」というマイナス思考でスタートする。

 試合前のミーティングでも、各打者ごとに「初球に何を投げる」から始まり、「2球目は?」「追い込んだら何を投げる」と延々と続く。「第1球はピッチャーとバッターどちらが有利か。理由も書け」とペーパーテストをしたこともあった。いざマウンドに上がると、相手の何倍も攻略法を練ったことが自信と余裕につながった。

 その姿勢が本当に役に立ったと痛感したのは、阪神に移籍した後です。巨人戦ではONとの対戦が勝負を分ける。しかし、マウンドからは王(貞治)さんに欠点なんて見つからない。その時にノムさんの「長所のそばに欠点がある」という言葉を思い出したんです。王さんの長所は一本足打法。足の上げ方で投手ごとにタイミングを合わせている。だから1球ごとに投球のモーションのリズムを変えたんです。それが王さん攻略のカギになりました。

 ノムさんがいなければ今日の僕はなかったでしょうね。

 頭が切れるノムさんと野球をやっていたから、「ベンチがアホやから」という言葉で阪神を辞めるハメになってしまったけどね(笑い)。

【プロフィール】
江本孟紀(えもと・たけのり)/1947年生まれ。東映、南海、阪神で113勝をあげる。南海での4年間でエースとして52勝を挙げた。34歳で引退後、『プロ野球を10倍楽しく見る方法』が200万部を超えるベストセラーに。参議院議員を2期務めた。

※週刊ポスト2021年1月1・8日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

氷川きよしの白系私服姿
【全文公開】氷川きよし、“独立金3億円”の再出発「60才になってズンドコは歌いたくない」事務所と考え方にズレ 直撃には「話さないように言われてるの」
女性セブン
”うめつば”の愛称で親しまれた梅田直樹さん(41)と益若つばささん(38)
《益若つばさの元夫・梅田直樹の今》恋人とは「お別れしました」本人が語った新生活と「元妻との関係」
NEWSポストセブン
パリ五輪への出場意思を明言した大坂なおみ(時事通信フォト)
【パリ五輪出場に意欲】産休ブランクから復帰の大坂なおみ、米国での「有給育休制度の導入」を訴える活動で幼子を持つ親の希望に
週刊ポスト
1988年に日本テレビに入社した関谷亜矢子アナ(左)、1999年入社の河合彩アナ
元日テレ・関谷亜矢子さん&河合彩さんが振り返る新人アナウンサー時代 「“いつか見返す”と落書きを書いて成長を誓った」「カメラマンに『下手くそ!』と言われ…」
週刊ポスト
被害男性は生前、社長と揉めていたという
【青森県七戸町死体遺棄事件】近隣住民が見ていた被害者男性が乗る“トラックの謎” 逮捕の社長は「赤いチェイサーに日本刀」
NEWSポストセブン
体調を見極めながらの公務へのお出ましだという(4月、東京・清瀬市。写真/JMPA)
体調不調が長引く紀子さま、宮内庁病院は「1500万円分の薬」を購入 “皇室のかかりつけ医”に炎症性腸疾患のスペシャリストが着任
女性セブン
学習院初等科時代から山本さん(右)と共にチェロを演奏され来た(写真は2017年4月、東京・豊島区。写真/JMPA)
愛子さま、早逝の親友チェリストの「追悼コンサート」をご鑑賞 ステージには木村拓哉の長女Cocomiの姿
女性セブン
被害者の平澤俊乃さん、和久井学容疑者
《新宿タワマン刺殺》「シャンパン連発」上野のキャバクラで働いた被害女性、殺害の1か月前にSNSで意味深発言「今まで男もお金も私を幸せにしなかった」
NEWSポストセブン
NHK次期エースの林田アナ。離婚していたことがわかった
《NHK林田アナの離婚真相》「1泊2980円のネカフェに寝泊まり」元旦那のあだ名は「社長」理想とはかけ離れた夫婦生活「同僚の言葉に涙」
NEWSポストセブン
大谷翔平の妻・真美子さんを待つ“奥さま会”の習わし 食事会では“最も年俸が高い選手の妻”が全額支払い、夫の活躍による厳しいマウンティングも
大谷翔平の妻・真美子さんを待つ“奥さま会”の習わし 食事会では“最も年俸が高い選手の妻”が全額支払い、夫の活躍による厳しいマウンティングも
女性セブン
広末涼子と鳥羽シェフ
【幸せオーラ満開の姿】広末涼子、交際は順調 鳥羽周作シェフの誕生日に子供たちと庶民派中華でパーティー
女性セブン
林田理沙アナ。離婚していたことがわかった(NHK公式HPより)
「ホテルやネカフェを転々」NHK・林田理沙アナ、一般男性と離婚していた「局内でも心配の声あがる」
NEWSポストセブン