アニソンファンは、鈴木の“アニソン”というジャンルに対する姿勢も好ましく感じているようだ。
「アニソンファンは昔から、真に歌唱力やパフォーマンス力がありながら、アニメ文化やアニソンに対して真摯に向き合ってくれるアーティストを素直に受け入れる傾向にあります。
2017年のアニサマに氷川きよしさんがサプライズで出演した際も、『限界突破×サバイバー』で圧倒的なパフォーマンスを披露すると、会場全体が大きな熱狂に包まれ、瞬く間にアニソン・シーンの住人として認められていました。その後、氷川さんが音楽スタイルを大幅に振り切ったものにしたのも、アニサマで得た経験が大きかったのではないでしょうか。
2019年にはマーチンもアニサマに出演していますが、ビッグアーティストでありながら、声優アイドルユニットのスフィアと『め組のひと』でコラボしました。その大御所らしからぬ柔軟な姿勢と確かなパフォーマンスには、会場を埋め尽くしていたアニソンファンだけではなく、大勢の関係者たちも素直に感動していました」(冨田氏)
世界中で「歌ってみた」動画が流行するほどの反響を受けて、鈴木は、「40年歌ってきて、今が一番幸せかもしれない」と語っている(9月26日に放送されたNHK総合『SONGS OF TOKYO』での発言)。今年デビュー40周年を迎えた大物歌手は、アニソン界という新天地で、何度目かの充実期を迎えているようだ。
●取材・文/原田イチボ(HEW)