右はコーチのステファン・ランビエール氏。宇野昌磨や島田高志郎のコーチも務める(時事通信フォト)

右はコーチのステファン・ランビエール氏。宇野昌磨や島田高志郎のコーチも務める(時事通信フォト)

紀平選手にあってロシア選手にないもの

 昨年のグランプリファイナルで、金・銀・銅をロシア勢が独占したように、現在の女子フィギュアはロシア選手が席巻している。4回転を手にした紀平はロシアに対抗できるのか。あるいはロシア選手のように複数の4回転が必要なのか。全日本とロシア選手権を見比べたフィギュアュアスケートに詳しいライターの土田亜希子氏はこう見る。

「紀平選手は4回転サルコウのほか、4回転トーループも練習しているという報道もありましたが、現状でもロシア選手と戦う力はあると思います。全日本で決めた4回転サルコウは大変質の高いジャンプで、世界大会でも加点が付くはずです。それから紀平選手にはトリプルアクセルがあります。今回、フリーでは回転不足となりましたが、ショートではきっちり決めています。調子が上がれば、フリーでは2本入れる実力がありますから、4回転と2本のトリプルアクセルがあれば対抗できると思います」

 ロシア選手たちもトリプルアクセルを試合で跳んでいるが、まだ紀平選手ほどの安定感はない。練習で跳ぶことができていても、試合で安定して成功させるには、相応の場数が必要になる。ジュニア時代からトリプルアクセルを試合に組み込んできた紀平選手には一日の長があるのだ。もう一つ、ロシア選手の課題を土田氏は指摘する。

「体形変化が起きる年齢です。15歳で金メダルを獲ったザギトワ選手が、翌年から苦労したように、女子は16~17歳くらいで体型変化が起き、ジャンプが跳べなくなることがあります。若いロシア選手が、そこを乗り越えて跳び続けられるかどうかが、今後、課題となるでしょう。安藤さんが初めて4回転を成功させたのも14歳のときで、シニアになってからも跳んでいましたが、回転不足の判定を受けるなど苦労していました。現在18歳での紀平選手は、体型変化を上手く乗り越えつつ、質のいいジャンプを跳んでいると思います」

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