ステファン・ランビエールコーチが授ける芸術性
元フィギュアスケーターの中野友加里氏は、本サイトのインタビューで「トータルバランスという点では、たとえば紀平選手をはじめ日本の選手たちは、ロシアの選手より優れていると思います」と話していた。ジャンプが注目される紀平選手だが、ショートプログラムのステップでインパクトのある「片手側転」を披露するなど、高い身体能力を活かして表現の幅を広げている。現役時代、表現力に定評のあったステファン・ランビエールに師事するようになったことで、今後、さらなる向上が期待できるだろう。
4回転時代とはいえ、4回転だけで勝てるわけではない。ロシア女子でも、跳んでいる4回転ジャンプの難易度で言えば一番高いのはトゥルソワだが、演技構成点は上位2人より低いなどが響き、結果は3位だった。土田氏は今後にこう期待する。
「いまや4回転は勝つための必要条件であり、十分条件ではありません。全日本で2位に入った坂本花織選手(20)も4回転を練習中ですが、坂本選手の3回転のジャンプの高さと幅は、女子選手ではトップレベルです。ジャンプの質で勝負できる選手ですから、その強みも活かして戦ってほしい。紀平選手も坂本選手も若いのですが、もっと若いロシア選手に対して、日本選手は成熟した魅力で勝負していくという、戦略性が求められると思います」