芸能

清原和博にとってYouTuberはプロ野球選手に次ぐ第二の天職だ

YouTuber清原和博へ期待(イラスト/ヨシムラヒロム)

YouTuber清原和博へ期待(イラスト/ヨシムラヒロム)

 ある意味、YouTubeに真打ち登場である。元プロ野球選手の清原和博氏が『清ちゃんスポーツ』、略して清スポを開設し、YouTuberデビューした。2016年に覚せい剤取締法違反罪で懲役2年6月、執行猶予4年の有罪判決を受けた清原氏は、2020年6月15日に執行猶予期間を終えた。有名人が犯罪に手を染めてしまったあと、どのように更生するかは人それぞれだ。有名人であることを生かす人、ひっそりと世間にまぎれることを選ぶ人など色々だが、一目で誰かわかる人は前者を選ぶ以外にない。イラストレーターでコラムニストのヨシムラヒロム氏が、リアリティーショー的な性質を持つYouTubeに新たな魅力をもたらしてくれる『清ちゃんスポーツ』について考えた。(文中一部敬称略)

 * * *
 高木豊、里崎智也を筆頭に引退した多くのプロ野球選手がYouTuberに転身している。また雨上がり決死隊の宮迫博之やTKOの木下隆之のようにスネに傷を持った芸能人もYouTuberに。ならばスネに傷を持った元プロ野球選手の清原和博がYouTuberデビューを果たすのも自然の流れである。12月12日、清原和博の公式チャンネル『清ちゃんスポーツ』が開設された。過去、石橋貴明、片岡篤史、小田幸平のチャンネルにゲスト出演したことはあったが、自身が主役を務めるとなればその重みも変わってくる。

 #1の冒頭から清原という人間が表現されていた。蓮の花の写真と共に「辛い事もあった。苦しいこともあった。心が折れそうなこともあった。だから俺は泥の中から、花を咲かす。蓮の花のように生きてやる。」というポエムが字幕で流れる。本人の中で覚せい剤と縁を切れたという自信もあるのだろう。確かに顔を見れば、引退後の清原にあった他者を威嚇するような目、黒々と焼けた肌、高圧的な話し方は消えていた。色黒ではあるんだけれど、少し薄くなった気がする。ただの野球好きのおっちゃん的な穏やかなルックスに変化している。

 #2で清原は「もう一度、ホームランを打ちたい!」と野望を語った。今後、『清ちゃんスポーツ』は、清原和博という元薬物中毒者であり元プロ野球選手が再生していく姿を捉えていくのだろう。これはYouTubeというメディアで繰り広げられる大いなる復活劇である。

 若い神や英雄が他郷をさまよいながら試練を克服した結果、尊い存在となる物語「貴種流離譚」を常に人は求めてきた。日本球界で最も若くして成功したスター選手から薬物中毒者、そして人気YouTuberへ。これほどの紆余曲折があるのか、と言いたくなるほど清原の人生は物語性が強い。「地方の農家出身の人間が首相に」「街の不良が人気格闘家に」と視聴者はわかりやすいストーリーを好む。

 現在、人気YouTuberとなったキングコング・梶原雄太、オリエンタルラジオ・中田敦彦も清原と似た部分がある。彼らは若くしてスターとなった。しかし、自分が思い描いた芸能生活を送ることができず、大きな挫折を経験する。しかし、活動のフィールドをテレビからYouTubeに変えたことで新たなファンを獲得していった。YouTubeの視聴者は逆境に立った人が復活する姿を好む。彼らの復活劇に希望を見出し、自身を鼓舞するのだろう。かつていた頂上が高い人ほど注目を集めるし、落ちた穴が深ければそれだけ興味を引く。その高低差が復活への道のりの勾配となり、角度が急であるからこそ這い上がる姿にドラマ性が生まれる。

 ホームランを打つことを目的としている『清ちゃんスポーツ』では、清原の肉体が変わっていく様子も映されていくはずだ。現在の清原はお世辞にも良い身体とはいえない。腹がどっぷりと出て、膝の故障のせいで歩くのもキツそうである。全盛期までとはいかないが、ホームランを打つためのシャープなボディへと変化すれば、これまた目を引くことだろう。心境よりも肉体の変化の方が目に見えてわかりやすい。かつて苦渋の表情でトレーニングをする姿を晒すことは清原の十八番だった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
新たなスタートを切る大谷翔平(時事通信)
大谷翔平、好調キープで「水原事件」はすでに過去のものに? トラブルまでも“大谷のすごさ”を際立たせるための材料となりつつある現実
NEWSポストセブン
4月3日にデビュー40周年を迎えた荻野目洋子
【デビュー40周年】荻野目洋子 『ダンシング・ヒーロー』再ヒットのきっかけ“バブリーダンス”への感謝「幅広い世代の方と繋がることができた」
週刊ポスト
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン
元工藤會幹部の伊藤明雄・受刑者の手記
【元工藤會幹部の獄中手記】「センター試験で9割」「東京外語大入学」の秀才はなぜ凶悪組織の“広報”になったのか
週刊ポスト
映画『アンダンテ~稲の旋律~』の完成披露試写会に出席した秋本(写真は2009年。Aflo)
秋本奈緒美、15才年下夫と別居も「すごく仲よくやっています」 夫は「もうわざわざ一緒に住むことはないかも」
女性セブン
小野寺さんが1日目に行った施術は―
【スキンブースター】皮下に注射で製剤を注入する施術。顔全体と首に「ジュベルック」、ほうれい線に「リジュラン」、額・目尻・頰に「ボトックス」を注入。【高周波・レーザー治療】「レガートⅡ」「フラクショナルレーザー」というマシンによる治療でたるみやしわを改善
韓国2泊3日「プチ整形&エステ旅行」【完結編】 挑戦した54才女性は「少なくとも10才は若返ったと思います!」
女性セブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
女性セブン
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
NEWSポストセブン