少年野球チームとの交流試合で打席に立つ清原和博(時事通信フォト)
清原に最も注目が集まっていた巨人時代、ハッスルプレーと共に印象に残っているのはオフシーズンの様子だった。毎年のように清原がトレーニングをする姿を追ったドキュメンタリーを放送していた気がする。「今年こそ完全復活!」とパーソナル・トレーナーのケビン山崎の元で肉体改造をしたり、鹿児島にある最福寺での護摩行をしたりと話題を振り撒いていた。どこかパフォーマンス性がある清原の自主トレに僕は夢中だった。
強気だがどこか繊細な素顔を持ち、兄貴肌で子分に優しく、酒に強く異性にモテる。
現役時代後期の清原は「球界の番長」として君臨していた。目立ちたがりといった側面もあるが、球界を盛り上げるためにわかりやすいキャラクターを自身に憑依させていた部分も多いはず。元来、清原はプレーと人間性の両面で人気を集めていた選手だった。過去、雑誌「FRIDAY」にプレーではなくプライベートにスポットを当てた「番長日記」という連載があったほど、素の清原はコンテンツとして価値があった。YouTuberは素顔を晒し続けることが求められる。終わることがないリアリティーショーの住人だ。よって、現役時代から人間性でも勝負をしてきた清原ほどの適任者はそういない。清原にとってYouTuberはプロ野球選手に次ぐ第二の天職である、と断言できる。
●ヨシムラヒロム/1986年生まれ、東京出身。武蔵野美術大学基礎デザイン学科卒業。イラストレーター、コラムニスト、中野区観光大使。五反田のコワーキングスペースpaoで月一回開かれるイベント「微学校」の校長としても活動中。著書に『美大生図鑑』(飛鳥新社)