「売り上げグラフが見える店は好きじゃない」
──宮崎市の繁華街「ニシタチ」でも2018年から「宮崎市ニシタチ大使」になっていらっしゃる。
玉袋:東京で事業をされていた宮崎出身の方の紹介が縁です。就任式には市長さんも出席してくれてね。
ニシタチは独特のスナック文化を持った街。中洲とかススキノとか大きな盛り場は街の絵が一緒じゃないですか。無料案内所があってキャバクラがあってと。でもニシタチは違う。チェーン店の居酒屋が少ないし、街の角を曲がるといろんなスナックビルがあって、ワーっていう感動があるんですよ。
大きな街の大きな店って、なんか女の子の後ろに“売り上げグラフ”が透けて見えちゃうんだけど、ニシタチは個人の店が多いからガツガツしてない。個人経営の店だと「今度娘が高校生でねえ」といった感じで生活が見えるのよ。ニシタチに限らず、首都圏でも急行が止まらないような小さな街のスナックはいい。オレはまたそういう店が好きなんだよね。
「スナック玉ちゃん」の店内
改めて気づかされた「“3密”の芸風」
──そうしたスナックでの人々との触れ合いが、玉袋さんの芸にも活かされているという部分はありますか。
玉袋:今回のコロナで改めて気づいたんだけど、自分の芸風というのはたくさんの人たちとの濃密な関係によって成り立ってた。つまり「3密」を中心とした芸風だったということ。3密が禁じられてオレの仕事も干上がったということを考えてもね(笑い)。でも、オレは3密で仕事やってきて今の自分があるってことに気がついたしね。これは忘れちゃいけねえところだなって思ってます。
「人との触れ合いによって自分の芸風も成り立ってきた」と語る玉袋
──コロナの終息はいつになるか先が見えないですが、落ち着いいてきたときに“スナック復興”に向けた玉袋さんなりの仕掛けは考えていますか。
玉袋:まずはマイナスを少しずつ減らしていくこと。いきなり逆転ホームランは打てないからね。でも、復興に弾みをかけるようなでっかいイベントはやりたいよね、“みんなよく乗り切った”ってね。
今は地道にできるホームページやユーチューブなんかでの情報発信で、感染予防対策を訴えながら常連さんを食い止めようっていうプロジェクトで全国のスナックを応援してます。