次期米国大統領のバイデン氏はオバマ政権時代、副大統領として日韓慰安婦合意(2015年)を仲介するという役割を果たした人物でもある。その日韓合意を事実上反故にした文大統領に不信感をもっていても不思議ではない。しかも、バイデン氏は同盟国との関係を強化する方針を打ち出しているので、文政権下の徴用工判決に基づき日本企業の資産現金化が実行され、日韓関係を毀損するような動きが見られれば、米韓関係はますます悪化しかねない。この状況を打破する起死回生の一打が、五輪での日米南北4者会談だというのだ。
「今年は東京五輪に絡めて、韓国はさまざまな駆け引きをしてくると考えられますが、自国開催の五輪ならともかく、日本が開催する五輪に口を出すということは一線を越えています。日本はこうした提案に慎重に対応すべきです」(崔氏)
五輪はスポーツの祭典であり、政治をもちこむべきではない。菅首相は、この正論を前面に押し出してきっぱり断ることができるだろうか。
◆取材・文/清水典之(フリーライター)